■■■AKI.DAC-U2704を使った・・・トランス式USB DAC■■■
Simple DAC using Line Transformer
秋月電子からとてもシンプルかつ廉価なDACキットが売られていてネット上でも話題になっています。なんとなく気になっていたので、秋葉原に立ち寄ったついでに買ってしまいました。早速作ってみたのですが、キットの状態では実用にならないことがわかりました。さて、どう料理したものかとあれこれ考えを巡らしているうちにふと目にはいったのが、某FM局の方から分けていただいた中古のライントランスです。試しに使ってみたところ望外の結果が出たというところから本シリーズが生まれました。
本機の母体となる秋月電子の廉価なDACキット「AKI.DAC-U2704」についてはこちらのページ(http://www.op316.com/tubes/lpcd/aki-dac.htm)を参照してください。
<高周波フィルタが必要>
PCM2704の14pin、15pinから左右チャネルのアナログ出力が出ているのですが、このキットでは高周波ノイズを十分に除去するためのフィルタが省略されています。そのため、無音状態でもアナログ出力端子から3.5mV(実測、帯域=2MHz)ほどのノイズが出ています。オシロスコープで観測するとぶわーっと広がった帯が見えます。主にこの高周波ノイズが原因だと思いますがザラつきのある荒れた再生音が出てきます。<出力信号電圧が低い>
このDACはUSBのVbus電源(5V)で動作しますが、アナログ出力部の電源電圧が低い(3.3V)ためアナログ出力電圧を通常のラインレベルまで高くすることができません。実測してみたところ、デジタルフォーマットの最大音量である0dBFSにおいて0.63V〜0.64Vでした。普通のCDプレーヤが2Vくらい、出力電圧が低いiPod nanoでも0.8〜1Vありますので、iPod nanoよりも出力信号レベルが低いわけでこのままアンプにつないだのでは音量不足になります。アナログ出力信号を2〜3倍程度増幅してやらないと実用性がありません。というわけで、高周波フィルタをつける、高い出力信号が得られるようにする、という2つの方針でアレンジすることにします。
DACの自作というと、キットなどをベースにしてデジタル部の電源強化と出力部にOPアンプを使ってこれにフィルタ機能と2〜3倍程度の利得を持たせたものを追加されると思います。実験をしていて最初に気付いたのは、キット側の電源をいじってもインパクトがないということでした。電源を強化すればするほど音が良くなる、という妄想からは十分卒業している私ですので、電源に関してはほんの気持ち程度の変更にとどめました。(後日わかったことですが、PCによってはかなりノイジーなUSB電源もあるようで、私が使っているThinkPadやMacBookはかなり良い部類のようです)アナログ部ですが、はじめのうちは別電源で動作するラインバッファをつけるつもりでやや大きめのケースを買ってきました。しかし、PCM2704の仕様を見ているうちにアナログ出力部分が案外パワーがあることに気づき、「僕はライントランスくらいなら余裕でドライブしますよ、昇圧してもらったってへこたれませんよ」なんて言っているような気がしてきたのです。
トランスは、巻き線比に応じて昇圧する機能がありますし、効果的に帯域をカットする性質も持っていますので(巻き方が悪いと素通しにもなりますが)、アレンジの方針にぴったりです。トランスの昇圧比は巻き数比に比例し、巻き数比はインピーダンス比の平方根で求めることができます。600Ω:10kΩのトランスの場合ですと、インピーダンス比は1:16.7ですから巻き数比は1:4.08になります。巻き線抵抗によるロスがあるので、巻き数比どおり4倍の昇圧は無理で実際には3.6倍前後になります。1次インダクタンスを高くとった優れたトランスほど巻き数が多く、巻き線のDC抵抗値が大きくなるためロスも大きくなるわけです。問題は、適当なトランスがあるかですが、ちょうど手元に600Ω:数kΩの放送局仕様のライントランスがいくつもあるので、これを試してみることにしました。
Sansui ST-71 (600Ω:600Ω、14g)・・・このトランスはオーディオ用途ではないしコアが小さい上に昇圧しませんから本機の目的には合致しないのですが、トランスを使ったら一体どんな音になるだろう?高周波ノイズは除去されるだろうか?周波数特性はまとも?といったいくつもの疑問があったので、早速テストしてみたところ・・・音はかなりまともで高周波ノイズは1/10以下に激減しました。ST-71のトランス単体の実測データはこちらにあります。この実験の結果、トランス方式はいけるかもしれない、といった風で先がちょっと見えたのです。
Sansui ST-52 (600Ω:2kΩ、59g)・・・Sansuiのカタログをあたっていたらこれが目にとまりました。巻き線比は1:1.8くらいですので、出力信号電圧は1V近くまでアップできそうです。このトランスを使う場合は、ダミーロードを2.2kΩにしてください。ST-52は千石電商で1個650円程度です(2012.5現在)。
TAMRA THS-4 (600Ω:3kΩ)・・・オークションで入手したもので、おそらくどこかのスタジオか放送局で入れ替えになった機材からの抜き取りでしょう。これを使った結果は非常に良好で、5.5dBほどの昇圧が得られて出力は1.2Vになりました。出力電圧がやや低めですがぎりぎり許容範囲でしょう。高周波ノイズはST-71よりも減って0.08mVになりました。音もなかなかよろしい。残念ながら、これに相当するトランスは現在のカタログにはありません。
TAMRA THS-2 (600Ω:10kΩ)・・・これもオークションで入手したものです。THS-4よりもうすこし昇圧が欲しい、ということで試したのがこれです。このインピーダンス比のトランスで最終決定としました。癖がなく音にコシがある優れたトランスです。TAMRAのトランスは、秋葉原のノグチトランス販売で扱っています。春日無線でも扱っていますが、オークションにもよく出てきます。
TAMRA TK-2 (600Ω:10kΩ)・・・タムラには、10dBmまで対応可能な600Ω:10kΩタイプのトランスとしてTK-2とTK-20の2種類があります。TK-20は以前からスタジオ機材の製作で愛用しているのですが、今回はカタログ上は帯域特性がやや劣るTK-2を試してみました。結果は下の方にありますが、文句のつけようのない内容でした。
東栄変成器 600Ω:10kΩ (600Ω:10kΩ、170g)・・・とかなんとか言っていたら、東栄変成器にも使えそうなトランスがあるという情報が掲示板に書き込まれました。170gというとT-600と同サイズですね。お値段1個998円。早速テストしてみましたが、残念ながらこのような用途には使えるようなものではありませんでした(本ページの下の方に実測レポートがあります)。
ご注意:SansuiのSTシリーズは、ノーブランドで類似品がいくつか作られて秋葉原の店頭に並んでいます。実測してみたところ、巻き線比は同じですが使っている線材の太さや巻き方が異なるようで、1次インダクタンスがかなり低いようです。Sansuiも大した特性ではないのに、ノーブランド品に至っては100Hz以下の特性がさらによろしくありません。Sansuiブランドのものは本体のコアカバーに「Sansui」の刻印があります。(関連記事はこちら)気になる方が多いと思いますので、Sansuiと東栄とTAMRAと日本光電の4ブランドの違いをまとめました。価格差どおり圧倒的な差があります。TAMRAや日本光電が高いと感じる方は多いと思いますが、製造原価と性能を考えるとそんなに高いものではないと思います。日本光電はTAMRAと同等かつ同一スペックのトランスを多数製造しており、この2社を区別する意味はあまりありません。
比較項目 Sansui 東栄 TAMRA 日本光電 電磁シールド なし
電源トランスに接近させないなど
実装さえ注意すればノイズの心配なしなし
電源トランスに接近させないなど
実装さえ注意すればノイズの心配なしあり(強力)
電源トランスに近づけてもハムをほとんど拾わないTAMRAと同等 静電シールド なし
コモンモードノイズが筒抜けなし
コモンモードノイズが筒抜けあり
コモンモードノイズを通さないTAMRAと同等 高域側帯域特性 良好 まあまあ
20kHzで1dB以上落ちる良好 TAMRAと同等 低域側帯域特性 まあまあ
100Hzあたりからダラダラ下がる不良
100Hzあたりからダラダラ下がる
小信号レベルになるほどローエンドが悪化良好 TAMRAと同等 歪み率 数kHzあたりから低い周波数に向かって一直線に劣化する 低域ほど歪が多く出力信号レベルで変化する 非常に優秀 TAMRAと同等 価格 600〜700円×2 998円×2 6,000〜10,000円×2 TAMRAと同等
AKI.DACのアナログ出力にはC3,C4とR6,R7による発振防止のZobelネットワークとR8,R9があります。これらは基本的にキット付属のCRをそのまま使います。C5,C6はキット付属として47μFがついてきますが、トランス式DACでは47μFでは不足しますので470μF以上に増やします。キットの基板に収まるのは直径8mmまでです。これ以上大きくしようとすると基板に乗りませんので足を長くして傾けるなどの工夫がいります。次に続くのは、インダクタ(L)とコンデンサ(C)によるLPFです。いろいろ実験した結果、最終的(2017.2現在)にはインダクタンスが2.7mHで巻き線抵抗(DCR)が10Ω以下のものになりました。インダクタはオーディオ信号を通すと多かれ少なかれ歪を発生させますが、その程度はインダクタごとにかなりの違いがあります。太陽誘電やTDKなどさまざまなメーカーのものも使えますが、最終的には歪が少ないものを特注することになりました。
2.7mHとセットで使うコンデンサの容量は0.01μFです。コンデンサと並列には数百Ωの抵抗が入れてあります。これらの値を増減することで5kHz〜22kHzの周波数特性をチューニングできます。抵抗値が小さくなるほどハイが落ち、大きくなるほどハイ上がりになり、撤去すると著しいピークができます。
トランスは、600Ω:10kΩまたは600Ω:7kΩのものがもっとも扱いやすいです。2次側には原則規定どおり(10kΩまたは7kΩ)の負荷を与えますが、チューニングによってははずれた値がベストのこともあります。私の製作では、DACの後続のアンプの入力インピーダンスとの合成を考慮して、7kΩのトランスの場合は8.2kΩ、10kΩのトランスには12kΩまたは13kΩの抵抗が入れてあります。合成した負荷抵抗は、値が小さくなるほどハイが落ち、値が大きくなるほどハイ上がりになります。
トランスの周波数特性は、ソース側のインピーダンスと2次巻き線側の負荷インピーダンスの影響を強く受けて変化します。2次巻き線側の負荷インピーダンスはできるだけ変化させたくないわけですが、後続につなぐアンプの入力インピーダンスの影響を受けるという問題が生じます。
アンプの入力インピーダンスの値は、低いもので10kΩくらい、高いものでは200kΩ以上、最も多いのは25kΩ〜100kΩの間です。当サイトの製作例ではそのほとんどが30kΩ〜100kΩの範囲内です。アンプの入力インピーダンスが50kΩだとして、2次巻き線側の負荷インピーダンスがちょうど10kΩとなるようにするためには、2次側には何kΩを入れたらいいでしょうか。並列になった2つの抵抗X、Yの合成値が以下の式で求められます。
並列合成抵抗値=(X×Y)÷(X+Y)そこで、X=50kΩと置いてこの式を解くと、Yが求まります。10kΩ=(50kΩ×Y)÷(50kΩ+Y)右のグラフは、トランスの2次側に12kΩと13kΩをつけたとして、後続のアンプの入力インピーダンスが10kΩ〜1MΩの範囲で合成値がどうなるかを表したものです。30kΩ以上100kΩ以下であれば実質負荷インピーダンスは10kΩから逸脱しないことがわかります。
Y=12.5kΩ2次側の抵抗の代わりに10kΩA型のボリュームをつける方法もあります。この場合は12〜13kΩではなく10kΩのボリュームでOKです。
最新バージョンで、AKI.DACの基板側に実装するコンデンサは以下の通りです。
回路図部品名 キット付属 変更後 コメント C5 47μF/25V 470μF/10V〜16V 600Ωトランスにおける適正値 C6 47μF/25V 470μF/10V〜16V 600Ωトランスにおける適正値 C11 47μF/35V 470μF〜1500μF/10V〜16V 大きいほど低域の左右チャネル間クロストークが良くなる C14 470μF/25V 1000μF/10V〜16V 値は厳密ではない C16 100μF/35V 220μF/10V〜25V 値は厳密ではない C17 100μF/35V 220μF/10V〜25V 値は厳密ではない 参考までに、LCR類を実装する平ラグパターンの例を挙げておきます。
AKI.DACからの出力は向かって左側です。アース(GND)はAKI.DAC基板の左右どちらか一方から1本だけでつなぎます。Trans Pというのは1次巻き線(Primary)で、Trans Sというのは2次巻き線(Secondary)の意味です。
実装で注意する必要があるのは、左右のインダクタは近づけないようにすることと、コア軸を平行にしないということです。左右のインダクタが接近していると、互いに干渉して特に高い周波数で信号の飛びつきが起きます。下の平ラグパターンでは、インダクタが遠くなるように配置しています。さらに、実装ではインダクタを垂直に立てないで、外側に45°〜50°くらい倒します。
製作例では、出力はバランス仕様としましたので上記の回路図には3Pキャノンコネクタがついています。しかし、トランス式のいいところで、3番COLDをアースするだけでアンバランスに早変わりします。アンバランスでのみ使う場合は、RCAジャックを使っていちばん下の回路図のように接続してください。
キャノンコネクタのままでも、中で3番と1番をつないだ「キャノン→RCA変換アダプタ」を用意すればアンバランス化されるのでRCAプラグをつなぐことができますが、1個あたり1,000円かそれ以上します(左の画像の右端)。あるいは、RCAピンプラグ付きのケーブルとキャノンプラグ(メス)をつないで自作してもいいでしょう(右の画像)。
(1)多くの出品者が1次と2次を間違えているタムラのライントランスは、端子番号が若い側が1次です。右画像のトランスは600Ω:10kΩなので表示上は左側が2次で右側が1次になっています。こういう表記は回路図上のイメージとは左右が逆ですね。出品者は単純に表示を見てこのトランスを10kΩ:600Ωと説明してしまうことがよくあります。
(2)多くの出品者がインピーダンス比と巻き線(昇圧)比をいっしょくたにしている
インピーダンス比=√(巻き線比)というトランスの基本を理解できていない出品者がほとんどです。70Ω:600Ωのトランスの巻き線比は1:2.9ですが、1:8.57だと思い込んで「MC昇圧に最適」などと書いてあったりします。
(3)多くの出品者が「ペア」という表記をしているが無意味
オークションで「ペア」と書いてあっても、特性を揃えたわけではないので特別な意味はありません。せいぜい「2個セットで出品します」という意味でしかありません。タムラや日本光電の業務用トランスは、製造精度が高いので任意の2個で特性はきれいに揃っています。ですから、1個ずつ出品されたものをステレオで使うことができます。また、出品の解説を見ると「同一ロット」という表現が目立ちますが、その多くは特注時の仕様を特定するための番号です。
(4)基板実装タイプの足の長さにご注意
タムラのトランスでは、TpA、TpB、TpCがつくトランスは基板実装タイプです。足の長さは新品では1cm以上の長さがありますが、基板からの取り外し品の場合は足がかなり短いです。中には短すぎて再利用できないものがありますので、出品時の画像をよく見て足の長さを確認してください。足の部分の画像がない出品は敬遠した方がいいでしょう。
(5)落札ではあせらない
この種のトランスは継続的に出てきます。今出品されているトランスを巡って競争になったとしても、競争相手がそのトランスを手に入れてしまえばその人は競争相手ではなくなるわけですから、競って無理に高値で落札しないで次が出品されるのを気長に待つのが賢明です。一端高値がついてしまうと、それが相場になってしまって廉価に出てこなくなります。
タムラのライントランスはそのラインアップが年々縮小されており、扱う店舗も限定され、店頭在庫も多くありません。私が思っていた以上にマーケットが小さくなってしまったようです。この記事が出て以来ずうっと品薄状態になって今日に至っています(2014.9現在)。なくなったわけではありませんので気長に待てば手に入ります。また、トランスは古くてもさほど劣化しないので、オークションで中古を手に入れるという方法はOKです。少々塗装が剥げていようが、傷がついていようが気にすることはありません。しかし、モノに対する基準は人によってかなり差があるようで、中にはかなりボロボロのトランスを出品する人もいます。意図的に「素人なので何もわかりません」といった記述をしてとぼける人もいます。端子が錆びていてハンダが乗らない、端子が欠けていて異常に短いなど「こんなものを出品するなよ」と言いたくなるようなものに出会うことがあります。画像が不明瞭なもの、情報が不十分なものは避けた方がいいでしょう。本機の目的に使えそうなトランスについて下表にまとめました。トランスの選定にあたっては、公称周波数特性を鵜呑みにしないことです。個々のトランスの相対的な違いはデータの序列どおりですが、実際の特性の水準は表記よりもはるかに良いです。たとえば、TK-2は「50Hz〜10kHz±0.5dB」と表記されていますから「こんなんじゃカマボコ特性でとてもオーディオ用になんか使えない」と思う方が多いと思います。しかし、実測してみると「7Hz〜50kHz±0.5dB」という申し分のない結果でした。下表で最もへぼい特性であるTHs-2相当を使った本機の特性を見ていただけば、TAMRAのライントランスの実力がわかるでしょう。
タムラおよびSansuiのトランスの定格および結線図は以下のpdfにあります。
タムラのトランスカタログ(2000.9版)
タムラのトランスカタログ(2012現在)
Sansuiのトランスカタログ(2012現在)
(タムラのトランスの価格はノグチトランス調べ)
ブランド 型番 インピーダンス 推奨値 巻き線比
<実測>公称周波数特性 最大使用
レベル形状 価格
(2014.6)LPF
LLPF
C//R2次負荷
R2次負荷
NetTAMRA TpAs-203 600Ω:10kΩ 2.7mH(10Ω) (未検証) 12〜13kΩ 10kΩ 1:4.08(推定) 30Hz〜20kHz±0.2dB 5dBm TpAs 7,390円 TpAs-2S 600Ω:7kΩ 2.7mH(10Ω) 0.01μF//820Ω 12kΩ 9.7kΩ 1:4 30Hz〜20kHz±0.25dB 7dBm TpAs 7,390円 TpAs-10S 600Ω:10kΩ 2.7mH(10Ω) 0.01μF//1kΩ 12〜13kΩ 10kΩ 1:4.08 30Hz〜20kHz±0.25dB 7dBm TpAs 7,390円 THS-2 600Ω:10kΩ 2.7mH(10Ω) 0.01μF//750Ω 12〜13kΩ 10kΩ 1:4.08 50Hz〜10kHz±1dB 0dBm Ls1 6,660円 THS-4 600Ω:3kΩ 2.7mH(10Ω) 0.01μF//750Ω 4.3kΩ 3.9kΩ 1:2.4 50Hz〜10kHz±1dB 0dBm Ls1 廃版 TpB-203 600Ω:10kΩ 2.7mH(10Ω) (未検証) 12〜13kΩ 10kΩ 1:4.08(推定) 30Hz〜20kHz±0.2dB 10dBm TpB 9,050円 TpC-203 600Ω:10kΩ 2.7mH(10Ω) 0.01μF//680Ω 12〜13kΩ 10kΩ 1:4.08 30Hz〜20kHz±0.2dB 30dBm TpC 廃版 TPs-5S 600Ω:10kΩ 2.7mH(10Ω) (未検証) 12〜13kΩ 10kΩ 1:4.08 30Hz〜20kHz±0.3dB 10dBm TPs 7,940円 TK-2 600Ω:10kΩ 2.7mH(10Ω) 0.01μF//750Ω 12〜13kΩ 10kΩ 1:4.08 50Hz〜10kHz±0.5dB 10dBm K 7,260円 TK-20 600Ω:10kΩ 2.7mH(10Ω) 0.01μF//560Ω 12〜13kΩ 10kΩ 1:4.08 20Hz〜20kHz±0.5dB 10dBm K 9,950円 TD-1 600Ω:600Ω
150 split1mH(1.4Ω) 0.039μF//240Ω 1kΩ 980Ω 1:1
1:2として使う30Hz〜20kHz±0.2dB 13dBm D1C 10,030円 東京光電 タムラと同等レベルのトランスがあります。 --- TKD-T-2 600Ω:10kΩ 2.7mH(10Ω) 0.01μF//910Ω 12〜13kΩ 10kΩ 1:4.08(推定) --- --- TpAs --- Sansui ST-52 600Ω:2kΩ 75Ω 0.039μF 2.2kΩ 2.1kΩ 1:1.91 --- 24dBm --- 650円 春日 KAI-10K 0-1k-10kΩ:
0-1k-2.5k-10kΩ2.7mH(10Ω) 0.01μF//430Ω 12kΩ 10kΩ 1:1〜3.16
(推定)--- 24dBu〜 --- 3,900円 トランス接続図(THs-2、TK-2)→
部品の頒布ページはこちら(http://www.op316.com/tubes/buhin/buhin.htm)
--- 説明 調達方法
(○=頒布あり)DACキット AKI.DAC-U2704、1,700円。 秋月電子 トランス 記事を参照のこと。 ノグチトランス販売
Yahooオークションなどケース 1,3号機:タカチ HEN110312
2号機:タカチ HEN110420奥沢、エスエスなど LED 自由選択、PG3889Sなど。 ○ インダクタ インダクタンス=2.7mH、直流抵抗=8〜9Ω。 ○ フィルムコンデンサ 通常のフィルムコンデンサ。積層セラミックは不可。 ○ 1次側抵抗器 トランスの種類に応じて、390Ω〜1.2kΩ。 ○ 2次側抵抗器 トランスの種類に応じて、8.2kΩ〜15kΩ。 ○ LED駆動抵抗器 AKI.DACのDC5Vから取り出す場合は820Ω。基板内蔵の青色LEDから取り出す場合は不要。 ○ アルミ電解コンデンサ 前述の表を参照。通常タイプかせいぜい低ESRタイプを推奨。 ○ 平ラグ 8P×2列が使いやすい。 ○ 貼り付け式ボス タカチ T-600。ケースに穴あけしなくても良いので便利。
但し、サイズが合わないのでAKI.DACの取り付けには使えない。○ スペーサ 6〜8〜10mm、3mm径。AKI.DACの取り付けのために最低2個必要。 ○ キャノンコネクタ
XLR3レセプタクル(オス)バランス出力で使う場合に使用。
縦長の旧タイプ、幅広の新タイプがある。
変換アダプタを使えばRCA対応も可。○ RCAジャック アンバランス専用の場合にのみ必要。
キャノンコネクタと両方取り付ける場合はスイッチによる切替が必須。○ ゴム足 タカチ A-P4。
タカチのHENシリーズのケースには小さい貼り付けタイプで小さいものが付属。○ LCフィルタのインダクタについて:
インダクタの値は、470μHから4.7mHまでさまざまな値で実験をしました。どの値でもチューニングさえしてやれば実用レベルの音を出しますが、1mH以下ではPCM2704からみた負荷が重くなるので歪が増加します。インダクタンス値を高くしてゆくとPCM2704で発生する歪は減ってきますが、LPF自体の回路インピーダンスが上昇するので、後続のトランスのインダクタンスや浮遊容量の影響を受けやすくなってきて、中高域でのフラットネスが得られなくなります。あちらを立てればこちらが立たずな関係があるわけです。両者の折り合いをつけられそうなのが2.2mH〜2.7mHあたりなので、最終的に2.2mH〜2.7mHに落ち着いたというわけです。しかし、この値でなければダメなわけではなく、1.5mH〜3.3mHくらいの範囲であれば十分にチューニングできると思います。私は実験で使用して余った1.5mHと3.3mHを自分用のDACで再利用しています。
本機ではもっぱら2.7mHのインダクタを使いますが、インダクタンスが2.7mHのものであればどれでもいいというわけではありません。インダクタはコイル本来の性質だけでなく長い巻き線によるかなり大きな直流抵抗(DCR)があり、この抵抗成分の存在がトランスの性能を劣化させます。直流抵抗(DCR)はインダクタにテスターを当てれば測定できます。初期設計は2.2mH/20Ωでしたが、最新の設計は2.7mH/9〜10Ωです。直流抵抗値が低いほどトランスの低域特性が良くなります。しかし、この値が変化するとAKI.DACと組み合わせた時の超低域および高域の周波数特性をも変化させてしまうことにも注意する必要があります。
インダクタにオーディオ信号を流すとインダクタ自体からも歪が発生しますが、その影響は高い周波数で顕著に現れます。信号レベルが大きいほど歪も多くなります。歪の程度はメーカーや型番によってまちまちで、非常に大きな歪を発生させるものもあれば低歪のものもあります。秋葉原で廉価に売っているものの中には激しく歪むものもありました。頒布ではインダクタ固有の歪が少ないものも特注しています。なお、インダクタはJ級(5%)およびK級(10%)で許容差が大きいので値が近い物を選別してペアにしています。
キットの組み立て
難しいものは何もありませんが、このキットの基板のランド(ハンダ付けする部分)が小さいですが、基板の熱伝導がいいためにハンダごての熱をどんどん拡散してしまいます。そのため、先が太目のこて先の方がハンダがよくまわります。ケースの加工確実かつきれいにハンダ付けするこつは、取り付ける部品のリード線を長いままにせず、穴から0.5mmくらい出るあたりで切ってからハンダづけすることです。長いままでハンダづけをするとハンダがリード線の上の方に固まってしまって穴にうまく浸透しません。短く切ってからですと溶けたハンダが穴のすきまにすいすいと入ってゆきます。なお、コンデンサ類は基板に密着させないで数mmほど浮かせておくと、穴へのハンダの浸透具合が確認しやすいです。
画像では、キットの基板からの線の引き出しはネジ止め式の端子台を取り付けていますが端子台は必ずしも必要ではありません。むしろ、時間とともに締め付けがゆるくなって線がスポッと抜けてしまったり、抜けないまでも接触が甘くなって音が歪んでしまうこともありました。線材の先を基板の穴に入れてハンダで埋めてしまえば十分です。私は最近はもっぱらこの方法で仕上げていますし、端子台は頒布リストからも削除しました。
ケースの加工で難しいと思われるのは、AKI.DACのUSB端子穴の位置決めとキャノン端子の穴あけでしょう。AKI.DACのUSB端子は基板から0.5mmほど出っ張っていますが、これがパネルに開けた穴にスポッと入るようにします。引っ込んだままですとUSB端子に深く挿入できなくてコネクタが抜けやすくなります。キャノン端子の穴あけはホールソーがあればベストですが、ない場合はステップドリルかテーパーリーマーを使うことになります。しんどい作業ですが頑張ってください。内部配線
いろいろなことをやってみたので、下の画像のそれぞれに違いがあります。キットの基板からの線の引き出しは、左の作例では基板パターンに線をハンダ付けしていますが、右側の2つの作例ではネジ止め式の端子台を取り付けています。ネジ止め式の端子台は経年の緩みで接触不良が起きやすいことがわかったので、今は使用していません。LPFや負荷抵抗は平ラグあるいは基板に取り付けています。ヒカリモノが欲しかったので、右側の2つの作例ではLEDも追加しています※。※本DACがPCを認識した時にLEDが点灯するようにする方法は、秋月電子のDACキットAKI.DAC-U2704についての簡単な説明にありますので参照してください。
トランスの取り付けは、左の作例ではパネルに穴をあけてトランスが外から見えるようにしていますが、右から2つめの作例ではホームセンターで買ってきた「コ」の字型のアルミチャネルがたまたまあったのでそれを使いました。画像のような「コ」の字型はネジの締め付けでドライバーが入らなくて苦労するので、「L]字型のアルミアングルの方が作業性がいいです。
その他の注意点としてはトランスのアース取りがあります。TAMRAのトランスの場合は、内部シールドが端子で出ているものと端子がなくて内部アースが筐体につながっているものとがあります。これらのアースはかならずつないでください。
左から、1号機(THS-2)、1号機再改訂(THS-2)、2号機(TK-2)、3号機(TpAs-2S)。
ユニバーサル基板IC-301-72に「TpAsタイプ」を実装した例・・・その1
タカスのユニバーサル基板IC-301-72上にTpAsタイプのトランスを実装した例です。ケースはタカチのHEN110412Sです。AKI.DACの基板上のコンデンサ類は余り物の流用です。特別なことは何もやっていませんが、LEDの取り付け方が少し変わっています。2mm厚のパネルに穴を開けてLEDを取り付けると3mmほど出っ張りますが、この作例ではLEDにワッシャを数枚かませてLEDの出っ張りをおさえています。パネルと完全に面一にすると見た感じがいまひとつだったので、ごくわずかに(0.3mmほど)出っ張らせています。
右の画像はタカスのユニバーサル基板IC-301-72のを使ったTpAsタイプのトランス用パターン例です。インダクタ同士の干渉によって高い周波数帯域での左右チャネル間クロストークの劣化を回避したのが改良版(左下)です。2.7mHのインダクタの場所を移しています。(クリックして拡大、右クリックでコピー&ダウンロード)TpAsタイプのトランスの基本接続は、1番(Hot)〜3番(Cold)が入力、4番(Hot)〜6番(Cold)が出力で、5番はアース(GND)です。日本光電製のTKD-T-2も同様です。
右の基板は、オーディオ信号は右から左に流れる構造です。中央で左右に貫通しているのがアースラインで、共通インピーダンスを下げるために2列にしてあります。実測上はほとんど差が出ませんが、基板面積に余裕があるのでささやかな贅沢をしています。
この種の基板実装タイプのトランスをオークションで入手すると、足が切られていて異常に短いものに出会います。足が短いと基板の穴に通した時に反対側まで届かないことがあり、ハンダづけで苦労します。そこで、トランスの足を通す穴にジャンパー線も通しておき、溶けたハンダが毛管現象で穴の中まで入りこんで短い足とジャンパー線で十分な導通接触が得られるように工夫しました。
ジャンパー線は基板の表側を這わせますので、トランスの筐体と接触しないように、トランスと基板の間に絶縁のための紙などを挟み込んでいます。右の基板パターンの出力側はバランス出力として描いてありますが、COLD側をアースにつなげば(破線で書き込んだ部分)アンバランス専用となります。
このパターンは参考例です。トランス式DACのアナログ部分は回路構成はシンプルで増幅回路もありませんから、基板パターンの違いによる性能差はほとんど出ませんし、アースの引き回しでどうこうなるものでもありません。基板のスペースには十分すぎるくらいの余裕がありますので、ご自身で考えて自由に設計してください。
ユニバーサル基板IC-301-72に「TPB/TPCタイプ」を実装した例・・・その2
タカスのユニバーサル基板IC-301-72上にTPCタイプのトランスを実装した例です。ケースはタカチのHEN110412Sです。AKI.DACの基板上のコンデンサ類は余り物の流用です。特別なことは何もやっていませんが、LEDの取り付け方が少し変わっています。2mm厚のパネルに穴を開けてLEDを取り付けると3mmほど出っ張りますが、この作例ではLEDにワッシャを数枚かませてLEDの出っ張りをおさえています。パネルと完全に面一にすると見た感じがいまひとつだったので、ごくわずかに(0.3mmほど)出っ張らせています。
下の画像はタカスのユニバーサル基板IC-301-72を使ったTPBあるいはTPCタイプのトランス用のパターン例です。インダクタ同士の干渉によって高い周波数帯域での左右チャネル間クロストークの劣化を回避したのが改良版(左下)です。2.7mHのインダクタの場所を移しています。(クリックして拡大、右クリックでコピー&ダウンロード)TpB/Cタイプのトランスの基本接続は、1次側2次側ともに巻き線がSplitとなっており、半分ずつ2つに分かれています。1次側は、1番がHotで4番がColdとなっており、2番と3番をつないで使います。2次側も同様で、5番がHotで8番がColdとなっていて、6番と7番をつないで使います。
右の基板は、オーディオ信号は左から右に流れる構造です。中央で左右に貫通しているのがアースラインで、共通インピーダンスを下げるために2列にしてありますが、右半分はアースラインのためのスペースがないのてジャンパー線でしのいでいます。2次側はバランス出力の状態になっていますので、アンバランスで使いたい場合はCold側をアースとショートさせてください。ショートさせる場所は基板上でも基板の外出力端子のところでもどちらでかまいません。
トランスがかなり大きいためCR類を乗せる適当なスペースの確保に工夫がいります。右の例では、1次側はうまく収まりましたが、2次側は迂回させた場所にR(13kΩ)を取り付けています。
ジャンパー線は基板の表側を這わせますので、トランスの筐体と接触しないように、トランスと基板の間に絶縁のための紙などを挟み込んでいます。右の基板パターンの出力側はバランス出力として描いてありますが、COLD側をアースにつなげばアンバランス専用となります。
このパターンは参考例です。トランス式DACのアナログ部分は回路構成はシンプルで増幅回路もありませんから、基板パターンの違いによる性能差はほとんど出ませんし、アースの引きまわしでどうこうなるものでもありません。基板のスペースには十分すぎるくらいの余裕がありますので、ご自身で考えて自由に設計してください。
<TAMRA THS-2・・・2014.6、2014.10>TAMRAのライントランスは、帯域特性・歪み率特性・位相特性いずれにおいても過不足なくバランスが取れていてなかなか優れたものであるという実感があります。測定方法ですが、WaveGeneを使ってPC上で正弦波信号を生成し、本USB DACの出力に歪み率計等の測定機材をつないで測定しました。なお「改訂前→改訂後→再改訂後」の表記になっています。
残留雑音は、2種類のWindows機と1種類のMac機で測定しましたが、いずれも全く同じ値となり、ノイズはPCの種類には依存しないことがわかりました。各PCごとにUSB電源の質やノイズの状態は異なりますが、そのような違いは本DACから出力されるノイズとは関係ないということなのだと思います。よく、PCのUSB電源はノイズだらけなのでそれを回避して上質の別電源にした、という記述を目にしますが、はたしてどこまで有効なのか私は疑っています。
- トランス規格: 600Ω:10kΩ(巻き線比1:4.08)
- 出力電圧: 1.83V→2.11V→2.18V(0dBFS)
- 残留雑音: 101μV→68μV(帯域=80kHz)、42μV(帯域=20kHz)
- S/N比: 86dB→90dB(帯域=80kHz)、94dB(帯域=20kHz)
- カップリングC: 100μF→470μF
- LPF: 「150Ω+0.022μF」→「75Ω+0.039μF」→「2.7mH+0.01μF//750Ω」
- 2次側負荷: 12〜13kΩ(後続の負荷と並列にした場合に約10kΩとなること)
周波数特性では、低域側は10Hzまでまっすぐ伸びています。多くのトランスが100Hzあたりから下でじわじわと減衰するのですが、TAMRAのライントランスはそれがありません。トランスのコアサイズが小さいので0dBFS時に10Hzから下は飽和領域にひっかかっています。歪み率特性は、PCM2704のスペックどおり最低歪み率0.006%が得られています。つまり、タムラのトランスはPCM2704の能力を上回ったということになるわけ?(注:この雑音歪率データは、トランスの実力をみるために20kHzのLPFを通して測定しています。)
〜初期バージョン〜
トランス式DACはここから始まった記念すべき1号機です。AKI.DACの出力のところのDCカットコンデンサ容量は1号機では100μFでした。100μFですとトランスの巻き線と共振を起こして8Hz付近にピークができます。このピークは150Ωの抵抗によってダンプされるためほとんど平坦になりますが、それでもご覧のとおりすこし持ち上がっています。(0dBFS時の歪率が悪くなっているのはPCの環境設定MMEによる影響です)
〜2014改訂版(これで終わりませんでした、次があります)〜
改訂のポイントは、AKI.DAC出力とトランスの間に入れるCRフィルタの抵抗値を150Ωから75Ωに下げたことです。こうすることで低域における歪が減りました。AKI.DACの出力のところのDCカットコンデンサ容量は220μFに増やしています。損失が減ったので0dBFSにおける出力電圧は1.83Vから2.11Vにアップしました。LPFのコンデンサ容量が大きくなったために、高い周波数におけるAKI.DACの負荷が重くなりました。そのせいで10kHzにおける歪率は微増しています。(0dBFS時の歪率が悪くなっているのはPCの環境設定MMEによる影響です)
〜2014改訂版(再改訂)〜
改良の余地はまだありました。CRフィルタではなく、LCフィルタに切り替えてみました。RからLに変更することでトランスからみた信号源インピーダンスを下げることができたため、低い周波数における歪が激減しました。また、高い周波数での負荷が重くなる問題も解消したため、10kHzにおける歪は極限まで減らすことができました。そして何よりも音が変わりました。回路定数ですが、初期のLCフィルタは2.2mH+0.012μFでしたが、最終的には2.7mH+0.01μFに落ち着きました。
<TAMRA THS-4・・・2014.10>THS-4は600Ω:3kΩなので昇圧比はあまり稼げませんが、それでも1.24Vが得られるので十分に実用になります。古い放送機材などからの取り外し品がたまにオークションで出ますので、こういうトランスも第二のお役目として生かしてみてはいかがでしょうか。
〜2014改訂版〜
- トランス規格: 600Ω:3kΩ(巻き線比1:2.24)
- 出力電圧: 1.24V(0dBFS)
- 残留雑音: 80μV(帯域=80kHz)、26μV(帯域=20kHz)
- S/N比: 84dB(帯域=80kHz)、94dB(帯域=20kHz)
- LPF: 「2.7mH+0.01μF//750Ω」
- 2次側負荷: 4.3kΩ(後続の負荷と並列にした場合に3.9kΩとなること)
3kΩ負荷で使うとややハイ落ちになるので、トランスからみて3.9kΩ負荷となるようにチューニングしました。結果は上々でなかなか良い周波数特性が得られています。
<TAMRA TK-2・・・2014.6、2014.10>TK-2はカタログスペックこそ冴えない数値ですが、使ってみるとかなり良いトランスであることがわかります。トランス自体の低域特性が良好なのでかなり期待できそうです。TK-2はTHs-2よりも高域側が持ち上がりやすいためLPFの定数を若干変更してあります。「改訂前→改訂後→再改訂後」の表記になっています。
(注:この雑音歪率データは、トランスの実力をみるために20kHzのLPFを通して測定しています。0dBFS時の歪率が悪くなっているのはPCの環境設定MMEによる影響です。)
- トランス規格: 600Ω:10kΩ(巻き線比1:4.08)
- 出力電圧: 1.88V→2.15V→2.32V(0dBFS)
- 残留雑音: 108μV→98μV(帯域=80kHz)、46μV(帯域=20kHz)
- S/N比: 86dB→88dB(帯域=80kHz)、94dB(帯域=20kHz)
- LPF: 「160Ω+0.022μF」→「75Ω+0.039μF」→「2.7mH+0.01μF//750Ω」
- 2次側負荷: 12〜13kΩ(後続の負荷と並列にした場合に約10kΩとなること)
〜初期バージョン〜
〜2014改訂版(改善の効果はありますが微々たるものでした)〜
LPFの回路インピーダンスを下げてトランスで生じる低域の歪を減らそうとしました。しかし、DACからみた負荷が高い周波数で重くなるので10kHzにおける歪が微増しています。低域と高域のどちらを取るか、という二者択一問題になってしまったわけです。
〜2014改訂版(再改訂)〜
そこでCRフィルタではなく、LCフィルタに切り替えてみました。抵抗器からインダクタに変更することで低い周波数における歪が激減しました。また、高い周波数での負荷が重くなる問題も解消したため、10kHzにおける歪は極限まで減らすことができました。これらの効果は音にはっきりと表れています。
<TAMRA TK-20・・・2014.10>TK20は古い設計のトランスですが、ご覧のとおり素晴らしい結果が出ました。特に歪率特性は50Hz〜10kHzのすべてにおいて遜色なく、PCM2704の物理スペックを軽々クリアした数字になりました。
- トランス規格: 600Ω:10kΩ(巻き線比1:4.08)
- 出力電圧: 2.20V(0dBFS)
- 残留雑音: 67μV(帯域=80kHz)、45μV(帯域=20kHz)
- S/N比: 90.3dB(帯域=80kHz)、93.8dB(帯域=20kHz)
- LPF: 「2.7mH+0.01μF//560Ω」
- 2次側負荷: 12〜13kΩ(後続の負荷と並列にした場合に約10kΩとなること)
<TAMRA TPC-203・・・2014.10>TK-20とほとんど同じ特性を得ています。こちらも文句のつけようのない結果となりました。
- トランス規格: 600Ω:10kΩ(巻き線比1:4.08)
- 出力電圧: 2.19V(0dBFS)
- 残留雑音: 76μV(帯域=80kHz)、47μV(帯域=20kHz)
- S/N比: 89.1dB(帯域=80kHz)、93.3dB(帯域=20kHz)
- LPF: 「2.7mH+0.01μF//680Ω」
- 2次側負荷: 12〜13kΩ(後続の負荷と並列にした場合に約10kΩとなること)
<TAMRA TpAs-2S・・・2014.6、2014.11>インピーダンス比が600Ω:7kΩなので出力はTHS-2やTK-2よりもほんの少し低めです。
この小型トランスは非常に優秀で、音は非常に明快かつローエンドまでしっかりと伸びています。聞くところによると、このトランスはNHKの要求仕様に合わせたものらしく、どんな場面で使っても一定の音が得られるものだそうです。(注:この雑音歪率データは、トランスの実力をみるために20kHzのLPFを通して測定しています。)
- トランス規格: 600Ω:7kΩ(巻き線比1:4)
- 出力電圧: 1.95V(0dBFS)
- 残留雑音: 90μV(帯域=80kHz)、38μV(帯域=20kHz)
- S/N比: 86.7dB(帯域=80kHz)、94.2dB(帯域=20kHz)
- LPF: 「160Ω+0.022μF」→「75Ω+0.039μF」→「2.7mH+0.01μF//820Ω」
- 2次側負荷: 9.1kΩ→8.2kΩ→12kΩ(50kΩ負荷と並列にした場合に約9.7kΩとなる)
〜初期バージョン〜
本機は私の手を離れて、さる音楽評論家氏のもとに行ってしまいましたので、実測データは初期バージョンだけでして、改訂版の実測データはありません。1〜2か月中に手元に回収して改造&チューニングを行う予定です(2014.10)。
〜2014改訂版(再改訂)〜
チューニング結果は意外な数字が出ました。2次側負荷の最適値は9.7kΩあたりなので2次側に入れる抵抗値は12kΩとなったのです。600Ω:7kΩと表記されていますが巻き線比の実測値は1:4ですから、巻き線比にもとずくインピーダンス比は600Ω:9.6kΩとなるわけで、チューニング結果は実際の巻き線比どおりとなったといえます。
<TAMRA TpAs-10S・・・2015.7>インピーダンス比が600Ω:10kΩのTK-2やTK-20と比べて出力電圧が少し低いのは、トランスが小型で線材が細いためDCRがやや高くなっているからです。
この小型トランスもなかなか優秀で、0dBFSにおいてもコアの飽和によるローエンドの低下がみられません。歪率データは取っていませんが、TpAs-2Sとほぼ同等だろうと思います。
- トランス規格: 600Ω:10kΩ(巻き線比1:4.08)
- 出力電圧: 2.09V(0dBFS)
- 残留雑音: xxμV(帯域=80kHz)、xxμV(帯域=20kHz)
- S/N比: xx.xdB(帯域=80kHz)、xx.xdB(帯域=20kHz)
- LPF: 「2.7mH+0.01μF//1kΩ」
- 2次側負荷: 12〜13kΩ(後続の負荷と並列にした場合に約10kΩとなること)
<日本光電 TKD-T-2・・・2015.7/2016.1>巻き線比が1:4.08と標準的であるにもかかわらず他の600Ω:10kΩのトランスと比べて出力電圧が低いのは、このトランスの1次巻き線のDCRがかなり高いためです。TpAs-10とTKD-T-2、インピーダンス定格も見た目も同じなのに素の特性はずいぶんと違うのです。
周波数特性、歪率特性ともに非常に優秀です。このトランスをいくつか使ってみた印象ですが、音も特性も優れていますがばらつきがちょっと大きいように思います。
- トランス規格: 600Ω:10kΩ(巻き線比1:4.08)
- 出力電圧: 1.78V〜1.80V(0dBFS)
- 残留雑音: 64μV(帯域=80kHz)、33μV(帯域=20kHz)
- S/N比: 89.0dB(帯域=80kHz)、94.7dB(帯域=20kHz)
- LPF: 「2.7mH+0.01μF//910Ω」
- 2次側負荷: 12〜13kΩ(後続の負荷と並列にした場合に約10kΩとなること)
<TAMRA メーカー特注品 注文No.60485162・・・2016.5.15>TASCAMのミキサー卓のフロントエンド基板から取りはずしたトランスがオークションに出ていたので使ってみました。
ミキサ卓はずしのトランスは手抜きがないので音については○ですが、特注品であるためデータがありません。自力で実測しないと最適値がわからないのと、昇圧比が小さめなので十分な出力電圧が得られないことが多いです。
- トランス規格: 600Ω:2.4kΩ(巻き線比1:2)
- 出力電圧: 1.057V(0dBFS)
- LPF: 「2.7mH+0.01μF//470Ω」
- 2次側負荷: 7.5kΩ(後続の負荷と並列にした場合に約6.5kΩとなること)
<TAMRA TD-1・・・2014.10>600Ω:600Ωのトランスで昇圧を得ようとする場合は、結線を150Ω:600Ωとすることで巻き線比1:2のトランスにします。TAMRAのTD-1は、1次2次ともに巻き線が半々にスプリットされているので、1次側は1-2と3-4を並列にし、2次側は4-(5,6)-7という風に直列にして使います。注意点としては、AKI.DAC側のC5、C6の容量を2200μF以上に増やさなければならないことです。2200μFのコンデンサはAKI.DACの基板には乗りませんので、別のラグ板などに取り付けてからAKI.DAC基板とをつなぐ工夫が必要です。
1次インピーダンスを150Ωあるいはそれ以下で使う場合の注意点:
- トランス規格: 600Ω:600Ω(巻き線比1:1)→150Ω:600Ω(巻き線比1:2)
- 出力電圧: 1.16V(0dBFS)
- 残留雑音: 50μV(帯域=80kHz)、29μV(帯域=20kHz)
- S/N比: 87.4dB(帯域=80kHz)、91.1dB(帯域=20kHz)
- C5,C6: 2200〜3300μF/10〜16V
- LPF: 「1mH+0.039μF//240Ω」
- 2次側負荷: 1kΩ
トランスの飽和による低域側の限界は伝送する電力で決まります。AKI.DACの出力電圧の最大値(0dBFSの時)は0.63Vですが、1次インピーダンスが600Ωの時は0.66mWですが、150Ωではその4倍の2.64mWになります。ということは同じコアボリュームのトランスで比較すると150Ωの時の方が低域特性が劣化するということです。TD-1はコアサイズが結構大きいので50Hzでも歪みは増加しませんし周波数特性も良好ですが、小型のTpAsサイズでは明らかに低域特性が悪くなります。昇圧比が十分稼げていないので出力電圧は6dBほど低めです。AKI.DACからみた負荷が重くなるため最低歪率が全体に上昇していますが、TD-1はコアボリュームがあるために50Hzにおいても歪率の劣化がありません。また、600Ω:600Ωのトランスらしい周波数特性の優秀さがデータにも表れています。
<TAMRA メーカー特注品 注文No.121078>カタログにないこの150Ω:10kΩのトランスはケースなしのむきだしです。某放送局のメーター駆動用のトランスだったものを、技術部の方がとりはずして「使えるかどうかわかりませんがよろしかったらどうぞ」と言って送ってくださったものです。トランス単体の周波数特性は以下のとおりで、30kHzまできれいなフラットネスが得られているのに、50kHz以上がしっかりと落ちており、フィルタ効果がほしいDAC用としては申し分ない特性です。
トランスのインピーダンス比が高く、AKI.DACの出力620mVに対して3.2Vくらいの出力が得られます。このまま使ったのでは過剰出力になるので、トランスの2次側に平衡型のアッテネータを入れました。回路図は以下の通りになります。
周波数特性では10kHz以上での減衰が思ったよりも大きいです。歪率は他のTAMRA製のトランスよりは高めですが、周波数ごとの特性は非常に良く揃っており、50Hzにおいても劣化が目立ちません。(注:この雑音歪率データは、トランスの実力をみるために20kHzのLPFを通して測定しています。)
- トランス規格: 150Ω:10kΩ(巻き線比1:8.16)
- 出力電圧: 1.69V(0dBFS、47kΩ負荷、内蔵アッテネータ後)
- 残留雑音: 77μV(帯域=80kHz)、32μV(帯域=20kHz)
- S/N比: 86.8dB(帯域=80kHz)、94.4dB(帯域=20kHz)
- LPF: 27Ω+0.1μF
- 2次側負荷: 9.2kΩ(40〜50kΩ負荷と並列にした場合に8.6kΩとなる)
<SOWTER 3360>ある日、皆さんもよくご存じの大物アーティストを手掛ける音響エンジニア氏が「こんなトランスを譲り受けたのですが使えないでしょうか」と言ってSOWTER製の3360を持ち込んできました。Webで調べてみると巻き線比1:10のトランスのようです。しかし、このトランスはちょっと古いMidasの卓で使われていた事が判明しました。
このトランスに47kΩ負荷を与えたところ、数十kHzの帯域に派手なピークを生じました。これでは使えませんのでいろいろな条件を与えてみたところ、10kΩ前後の負荷を与えた時に最も素直な特性が得られることがわかりました。また、その時の歪み率特性は全く卓越したものでもありました。
実験の結果をふまえて決定した動作条件および作成したメモが下図です。
問題は0dBFS時の出力電圧が3.5Vもあることです。基準レベルが+4dBのプロ機器としてであればこれくらい高い出力がちょうどいいのですが、コンシューマ用としては1.5V〜2.2Vくらいに落としたいところです。そこで抵抗器2本によるアッテネータを入れたものを何パターンか計算をしてみました。
- トランス規格: 200Ω:47kΩ(巻き線比1:10、推定)
- 出力電圧: 3.5V(0dBFS、11kΩ負荷)
- LPF: 27Ω+0.1μF
- 2次側負荷: 約9kΩ
トランスにメモを添えてご本人に返送した後、このメモをもとに製作されたそうです。音のバランスも定位も全く素晴らしい結果を得たというコメントが返ってきました。
<試作トランスX → 春日無線変圧器KAI-10K>某所より、トランスを試作したので使ってみてほしい、というご相談があり、これからそのトランスを使ってテストしています。そこそこいい線いったら記事にしますし、冴えない結果になったらこの記事自体が消えることになります。さて、結果やいかに。
このトランスは非常に面白いというか、欲張った巻き線構造になっています。1次側は「0〜1kΩ〜10kΩ」で、2次側も「0〜1kΩ〜10kΩ」です。つまり、このトランスは10kΩ:10kΩとしてだけでなく、本DACでは1kΩ:10kΩとして使えばいいですし、逆に10kΩ:1kΩとしても使えるトランスであり、そうした使い方を考慮して設計してあるとのことです。私としては、「0〜1kΩ〜2.5kΩ〜10kΩ」にすればプッシュプル方式のライン出力でも使えるのに、と思ったのですがこれは先々の宿題ということにしましょう。静電シールドはついていませんので、そこのところがどうなるかは興味があるところです。
このトランスは、低域側の歪が多いのでLPFの抵抗値を39Ωまで下げて歪み率の改善をはかっています。PCM2704からみて高い周波数での負荷が重くなってしまったので10kHzの歪が増加していますが、全体をみたトレードオフでこのような判断をしました。抵抗値を75Ωとし、コンデンサ値を0.047μFのすれば高域側の歪みは減りますが低域側は2割〜5割ほど増加します。
〜初期バージョン〜
- 出力電圧: 1.71V→1.80V(0dBFS、47kΩ負荷)
- 残留雑音: 75μV(帯域=80kHz)、43μV(帯域=20kHz)
- S/N比: 87.6dB(帯域=80kHz)、92.4dB(帯域=20kHz)
- LPF: 「27Ω+0.15μF」→「2.7mH+0.01μF//430Ω」
周波数特性は見事なフラットネスを得ています。このトランスは重量が255gもあり、実験で使った中では最大のサイズです。オリエントコアを使用しているそうで、微小信号時に超低域のレスポンス低下が心配でしたがそれは杞憂でした。信号レベルを下げていってもフラットネスは維持されています。中低域の謎の歪みについては東栄のものと同傾向の山ができていますが、歪みの量は全般に東栄に比べて1/2〜1/3くらいに少なくなっています。(注:この雑音歪率データは、トランスの実力をみるために20kHzのLPFを通して測定しています。)
〜改訂版〜
LCフィルタ化して信号源インピーダンスを下げましたが、中低域に見られる不思議な歪悪化の山はわずかに低くなっただけで根本的な解決はみられませんでした。
低域の歪み成分が気になったので、出力信号をBPFに通して基本波を除去し、高調波成分のみ取り出してオシロで見てみたのが右の画像です。上側が出力信号波形で下側が高調波成分です。線が太いのは測定時ノイズのせいなので気にしないでください。
山の数を数えていただけばわかりますが、3次高調波が主体であることがわかります。つまり、素直に上下に潰れた歪み方なわけです。飽和領域になったトランスの波形は概して痩せてくるものですが、その逆で太っていることになります。3次高調波主体であれば低域が腰抜けになるわけではないし、2次高調波のように音の輪郭がぼやけることもないのでまあ許せるかなあと思います。
このトランスはこれまでテストしたどのトランスよりもローエンドがしっかり出ており、これは耳で聞いてもはっきりと認識できます。ミッド以上の帯域のキャラクタはタムラとはかなり異なりますので評価は好みで分かれるでしょう。タムラで共通して感じられる独特の定位感はこのトランスでは得られません。今は「KAI-10K」という型番で販売されるようになりました。2次側にセンタータップ(インピーダンスでは2.5kΩ)が追加されています。
<東栄変成器 600Ω:10kΩの場合>東栄にも600Ω:10kΩのトランスがある、しかも1,000円以下という情報を得て入手して測定してみたのが以下のデータです。
出力電圧が高いのは巻き線抵抗がかなり小さいからですね。周波数特性ですが、0dBに対して-10dBで低域側の低下が気になったので、さらに小さい-20dBと-30dBについても測定してところ、ご覧のとおりの惨憺たる結果となりました。微小信号時に超低域のレスポンスが低下すると、MP3などの圧縮音源のような、音数が減った、軽い音、雰囲気が欠けた音になります。歪み率特性はかなり悪く、変な山ができています。この山は低い周波数ほど大きくなりますが、1kHzでもその影響をみることができます。100Hzでこんな調子では50Hzあたりではまともな音にならないでしょう。最初は測定法を誤ったかと思ったのですが、他の多くの方の測定でも同じ結果となったので、測定ミスでもないし個体のばらつきでもないことがわかりました。LPFの定数を変更して、150Ωではなくもっと小さな値にすれば歪みの総量は下げられますが、この傾向は変わることはありません。(注:この雑音歪率データは、トランスの実力をみるために20kHzのLPFを通して測定しています。)
- 出力電圧: 1.95V(0dBFS、47kΩ負荷)
- 残留雑音: 102〜106μV(帯域=80kHz)、93〜97μV(帯域=20kHz)
- S/N比: 85dB(帯域=80kHz)、86dB(帯域=20kHz)
- LPF: 150Ω+0.022μF
- 2次側負荷: 13kΩ(50kΩ負荷と並列にした場合に約10kΩとなる)
CRフィルタを使った初期バージョンは、地味な音がします。ナチュラルさが特徴でオーディオ的に強く訴えるようなところがなく、しかしよく聞き込んでみると定位が良いこと、個々の楽器の存在がはっきりとしていること、音数多いことに気づきます。LCフィルタ化した音は見通しの良いすっきりとしたものに変化します。特に超々低域の帯域感がかなり良くなり、空気感もしっかりと出るようになりました。耳で感じることができる音数はさらに増えます。しかし、CRフィルタの時のようなコツッとした感じ、音が塊で迫ってくるような感じが減ります。
LCフィルタの特性は負荷となるインピーダンスに対してかなりクリティカルです。再生環境によっては高域が出過ぎるように感じることがありますが、そういう時はコンデンサと並列に入れてある数百Ωの抵抗値を10〜20%くらい減じてやると落ち着いた音になるでしょう。おそらく、使用したトランスや部品のばらつき、後続のアンプの入力インピーダンスとの関係で生じた、周波数レスポンスにして0.05dB〜0.1dBくらいのわずかな持ち上がりが原因です。
* * * ある放送局からのレポート * * * 「USB DAC:TpAs-203にしてみました。これはいいですね。トランスを見直しました。USBを延長してBタイプに変換してなんとか納めました。 イベントなどでPCの出力を卓に繋ぐこともあるのですがドライバもいらずバランス接続できるのでとても便利です。」(下の画像、2013.8)・・・このDACはInterBEEなどのイベントのデモ機で使われていますが、売り物ではないのにお客様が「これは何?」と興味を持ってしまい苦慮しているとかいないとか。