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コンデンサ
コンデンサとは

コンデンサは、直流は通さないが、交流は通すという性質を持っています。交流にどんなものがあるかというと、50Hz/60HzのAC100Vのほかオーディオ信号やハムやノイズが該当します。この性質を使って、増幅各段の信号経路をつないだり、ハムやノイズを除去したり、回路の動作を安定させるといった目的に使います。

コンデンサには、容量(交流を通す度合い)と耐圧(かけることができる直流電圧)の規格があります。容量は、物理学者ファラデーの名前からとって「ファラッド」という単位で表記しますが、オーディオ回路でもっぱら使用するのは、1/1,000,000ファラッドの「μF(マイクロ・ファラッド)」とそれをさらに1/1,000,000にした「pF(ピコ・ファラッド)」です。


フィルム・コンデンサ

ポリエチレンやポリプロピレン膜を使ったコンデンサをフィルム・コンデンサといいます。フィルム・コンデンサは、後述する電解コンデンサに比べて、絶縁特性が優れており、しかも電気的特性が良好で、特に高い周波数帯域ので性能が優れています。フィルム・コンデンサで得られる容量の範囲は「0.001μF〜数μF」、耐圧は低いもので50V、一般的には200V〜400V、高いもので630V〜1000Vです。

フィルム・コンデンサには、容量、耐圧、精度が表示されています。わかりやすく「μF」「V」の表示があるものは稀で、ほとんどのものは「2G474J」という風な記号で表記されています。この場合、先頭の桁は耐圧、次の2桁は容量値の上2桁、最後の1桁が容量値のスケール(10のn乗)です。「2G」は400V耐圧、「474」は0.47μF、「J」は精度5%の意味です。詳細は以下のページにあります。

参考ページ: 8.コンデンサの種類と使い方(コード表付き)

←フィルム・コンデンサの色も形もさまざま。

上側左から、
1μF/220V(茶色)、
0.22μF/250V(黒色)、
2μF/200V(黒色)、

下側左から、
0.01μF/50V超高精度2%(黄緑色)、
3.3μF/50V(青色)、
0.1μF/400V(青色)。


電解コンデンサ

電解コンデンサは、安全弁付き筒型の容器の中に電極とペースト状の電解液とを封入した構造で、小型のわりに大きな容量のものが作れます。プラス/マイナスの極性があり、極性に対して逆の電圧をかけることはできません。構造上、動作中は常にμAオーダーの微少電流が流れていますので、絶縁性能が要求される回路には使えません。電解コンデンサで得られる容量の範囲は「0.1μF〜数万μF」、耐圧は3V〜350Vです。耐圧400V以上のものもありますが、数は非常に少なく高価です。

←さまざまな電解コンデンサ。

左から、
アルミ電解コンデンサ(820μF/25V、47μF/250V)、
高性能型アルミ電解コンデンサ「ブラックゲート」ブランド(47μF/100V)、
方式が異なる高性能タイプ「OSコンデンサ」(100μF/16V、470μF/16V)。

ケースにマイナス極性表示(帯)があるが、リード線にも意味がある。
長い方がプラスで短い方がマイナス。

電解コンデンサの仲間には、もっとも普及している一般的な「アルミ電解コンデンサ」、ブラックゲート・ブランドのような特性を改良した「オーディオ用アルミ電解コンデンサ(各社から出ている)」、扱いが難しいが比較的性能が良い「タンタル電解コンデンサ」、丈夫でしかも高性能な「OSコンデンサ」などがあります。

実装上の注意:

電解コンデンサの寿命は温度の高さによって影響を受け、寿命は周囲温度が10℃上がるごとに半分に縮みます。従って、実装上、高温になる大型抵抗器や真空管の近くには配置しないようにします。また、リード線の長さによって極性表示も行っているので、実装直前まで無闇にリード線は切らないようにします。一応、ケースにも極性表示がありますが、ずれてしまったりして解りにくいことがあるからです。


その他のコンデンサ

ポリスチレン・コンデンサ・・・俗称「スチコン」。数pF〜10000pF(=0.01μF)の範囲の容量で、高周波特性が優れている。特に、銅箔を使ったものはオーディオ用として評価が高い。負帰還の位相補正用途などに使用する。

マイカ・コンデンサ・・・雲母(マイカ)を誘電体に使用したコンデンサで、数十pF〜10000pF(=0.01μF)の範囲の容量で、高周波特性が優れている。これもオーディオ用のものが出ている。負帰還の位相補正用途などに使用する。


復習: 5.コンデンサ値の計算 8.コンデンサの種類と使い方 6.コンデンサ
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