私のアンプ設計マニュアル / 雑学編
15.線材

アンプ内部の配線材:

以前、ここで「私は、ヒゲが嫌いなのと作業のしやすさ、枝振りの整えやすさの点でメッキなしのビニル被覆の銅単線を愛用しています。用途によって単線の太さを使い分けています」と書きましたが、今は宗旨替えして撚り線を使っています。単線は単線でいい面もあるんですが、しなやかさに欠けるのでやめてしまいました。

シールド線はできるだけ使用しないでもすむような工夫をします。この傾向は最近特に強くなりました。使う必要のある場合は、普及タイプの低容量型のものを使います。また、最近手を出した平衡伝送アンプではシールド線の必要はほとんど皆無なので、これはなかなかいいですね。


機器間の接続:

ここでは、すこし手厳しいことを書きます。これを読んでいるあなたにとって、アタマにくるような表現があるかも知れません。そういう時は「ああ、変わった奴もいるもんだ」と面白がって読むか、さっさとページを閉じるかしてください。

昨今、ライン・ケーブルやスピーカー・ケーブルとして1mあたり数千円(いや数万円かもっとお高い)もする霊験あらたかなケーブルが販売されています。私は、そういうたぐいのケーブルは、詐欺まがいのおまじないの壷に近いものだと思っています。あんなものを使ったっていい音になんかなるもんか、そんなことをするくらいなら、風呂にはいってついでに耳の穴の掃除でもした方がはるかにいい音になる、と思っています。(ほうら、アタマにきはじめたでしょう)

たとえば、録音現場で使用されるマイクロフォン・ケーブルは一体どれくらい長いのでしょうか。CDプレーヤやアンプの内部配線はどうなのでしょうか。OPTには、あきれるくらい長い線材がぐるぐると巻かれていますし、スピーカの内部にだってネットワークやボイスコイルも含めると実に長い線材が使われています。それなのに、CDプレーヤとアンプを繋ぐ1mかそこいらの線材を取り替えて「やれ、音がやわらかくなったの、帯域が広くなったの」と騒ぐのには、あきれて物が言えません。

博多から東京まで行くのに、名古屋-三河安城間だけグリーン席に乗って喜んで、残りの全行程は立ち席だったことを忘れているような気がします。(ちょっと違うか)

問題は、バランス感覚にあるような気がします。また、お金や物量の投下とその効果とは、必ずしも右上りの相関関係ではないという点も重要です。「風邪薬を買って来い。」「どれにしますか。」「馬鹿、いちばん高いのに決まっているではないか。」というのは、私が15年前に経験した実話ですが、人間それぞれに価値観が異なり、いちばん高い風邪薬だとやっぱり治りが早い人もいるのかもしれません。ですから、人それぞれに好きずきで一向に構わないのですが、私にも私なりの好きずきというものがありますので、私の流儀にまるで合わない方のアンプの製作のお手伝いだけは御免蒙りたいものです。


配線材による音の変化:

変化は、時として明確に現われ、時としてさっぱり現われません。また、音が変化したからといって、それがいいことなのかどうかは別問題ではないでしょうか。実に、オーディオの世界では何をやっても音が変わります。カートリッジの端子とヘッドシェルをつなぐたかだか2〜3cmのリード線(カートリッジ〜プリアンプ間の全体の長さからみたらわずかな距離)を替えただけでも音が変わってしまうのですから、話は厄介です・・・オイコラ、さっきまで音なんか変わるものか、なんて書いてたじゃないか。はっはっは。

というわけで、巷は、やれモガミのなんたらかんたらがいいだの、線材をブチルゴムで巻けだの、うんと太くしろ、銀がエエ、電話用の細いのがいい、床から浮かしたらどうたらこうたら、とにぎやかになってくるわけであります。天下泰平。

さて、どこで手を打つかはあなた次第。ひとりで泥沼にはまるもよし、沼には近寄らずに女の子といちゃつくもよし。私の場合は、単に後者を選んだだけのこと。

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