私のアンプ設計マニュアル / 半導体技術編
トランジスタ増幅回路その9 (出力インピーダンスの計算法)

実例から

下図のようなエミッタ共通回路の出力インピーダンス(=内部抵抗)の計算式は以下のようになります。式というか、そのまんまというか。

出力インピーダンス = RC
では例題を3つほど。

左側の回路: 出力インピーダンス = 12000Ω
中央の回路: 出力インピーダンス = 6000Ω
右側の回路: 出力インピーダンス = 12000Ω

バイポーラトランジスタのエミッタ共通回路の出力インピーダンス(=内部抵抗)はコレクタ負荷抵抗値を同じになります。コレクタ電流値の影響は受けませんし、エミッタ側の回路がどうなっているかも関係ありません。


出力インピーダンスは何故コレクタ負荷抵抗値と同じなのか

その答えは、データシートのIC-VCE特性図にあります。ローノイズトランジスタ2SC2240のIC-VCE特性(下図)を使って説明しましょう。

この図は、ベース電流を一定にした状態で、コレクタ〜エミッタ間にいろいろな電圧をかけてみて、コレクタ電流がどれくらい流れるかを示した図です。コレクタ〜エミッタ間電圧が0.5V以上の領域では、コレクタ電流がほとんど変化せずに一定です。これはバイポーラトランジスタの特徴的な性質を表しています。バイポーラトランジスタのコレクタ電流は、全く言っていいくらいコレクタ〜エミッタ間電圧の変化の影響を受けないのです。

かけた電圧が変化しても電流がごくわずかしか変化しないということは、コレクタ〜エミッタ間が高抵抗であるということを意味します。エミッタ共通回路を出力側からみた時、交流的には「コレクタ負荷抵抗」と「バイポーラトランジスタのコレクタ〜エミッタ間」が並列になって見えます。「コレクタ負荷抵抗」は一定の抵抗値を持ちますが、「バイポーラトランジスタのコレクタ〜エミッタ間」はほとんど無限大の高抵抗なので、この2つの合成値=コレクタ負荷抵抗ということになるわけです。

IC-VCE特性図をよく見ると、完全に水平ではなくかすかに右上がりになっています。バイポーラトランジスタのコレクタ〜エミッタ間の内部抵抗は以下の式で求めることができます。

コレクタ〜エミッタ間の内部抵抗 = VCEの変化 ÷ ICの変化
コレクタ〜エミッタ間電圧が10V変化するごとにコレクタ電流が0.05mA増加したとしましょう。この時のバイポーラトランジスタのコレクタ〜エミッタ間の内部抵抗は以下のようになります。

コレクタ〜エミッタ間の内部抵抗 = 10V ÷ 0.03mA = 333kΩ
ご覧のとおりコレクタ負荷抵抗に対して非常に大きな値ですので、通常の設計では無限大と割り切って考えて差し支えないのです。IC-VCE特性は、コレクタ電流が増加するにつれて水平ではなくなって角度がついてきます(内部抵抗が小さくなる)が、コレクタ電流が多いということはコレクタ負荷抵抗値が小さくなるということですので、相対的にみてやはり無視できるわけです。


アーリー効果

IC-VCE特性が水平ではなくなる現象のことをアーリー効果といいます。トランジスタ回路を精密に設計して特性を追い込む場合は、アーリー効果も考慮しますので一応知っておいてください。


私のアンプ設計マニュアル に戻る