私のアンプ設計マニュアル / 基礎・応用編
負帰還その4 (位相補正)

周波数特性と位相

ここに、低域をカットするような回路と、高域をカットするような回路があります。(右図)

負帰還(NFB)は入力波形と帰還された波形の引き算を行う演算を行いますが、帰還のさせかたによっては引き算にならずに足し算になってしまうことがあります。足し算になるような帰還のことを正帰還(PFB)といいます。

正帰還では、出力信号が帰還されて入力信号と足し算されてそれがもういちど増幅されます。その信号がまた正帰還されて足し算されてまたまた増幅され、その出力がまた正帰還されて・・・を繰り返すことでどんどん大きくなって発振に至ります。正帰還による発振が生じた真空管アンプにスピーカーをつなぐと、ギャーというけたたましい大音響で鳴ります。弱い正帰還が生じた場合は、発振には至りませんが利得が増えたように見えて歪み率も増えます。

真空管式の2段シングルミニワッターを例に位相関係を書くと以下のようになります。この2つの図では、出力トランスの1次側の結線が入れ替わっている点に注目してください。

増幅回路はグリッド→プレート間で位相が反転しますから、入力された波形は初段プレート側で反転し、出力段プレート側でもう1回反転します。このことは上の2つの図に共通しています。

出力トランスの多くは1次側、2次側ともに「0」と表記された側同士で巻き始め位置を揃えてあるのが普通です。左上図のように接続すると1次側、2次側ともに「0」と表記された側が交流的にアースにつながりますので1次側の「0−7kΩ」間の入力されたのと同じ位相の波形が2次側の「0−8Ω」間に出力されます。そしてこの波形が負帰還抵抗を通って初段カソードとアースの間に入力されます。このような位相関係の場合、入力信号と帰還された信号とが引き算された結果が初段グリッド〜カソード間に再度入力されることで負帰還が完成します。

出力トランスの1次側のつなぎ方を逆にしたらどうなるのかを表したのが右上図です。2次側に現れる信号の位相が逆転するため正帰還になって発振します。


負帰還における安定性

入力された信号がアンプで増幅され、その出力が負帰還回路を通って戻ってくるところまでをひとつのループとして考えて、そのループが一周する時の利得の合計のことをループ・ゲインといいます。下図において、X点から入力された信号がA倍に増幅され、帰還回路でさらにβ倍(通常は減衰)されてY点に達した時に信号がどれくらいの大きさになっているか、というのがループゲインです。

実際のアンプでループゲインを実測するには、上図のように負帰還がかかるポイントのところで切り離して測定すればOKです。負帰還ではなく正帰還となるように位相が反転していて、しかもループゲインが1倍(0dB)以上になっていると発振する条件が揃います。

ループ・ゲイン=A × β
発振のための条件=ループ・ゲイン > 1
増幅回路は、ある周波数において正帰還がかかっているということとその周波数におけるループゲインが1倍以上という2つの条件が揃うと発振します。


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工事中

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