私のアンプ設計マニュアル / 基礎・応用編
1.はじめに
このホームページは、どちらかというと、すでに真空管アンプを自身で設計したり、キットをあれこれ改造したりしている方がアクセスされることを思い浮かべてスタートしました。そのため、オームの法則はもとよりロードラインを引いたり時定数の計算はできてあたりまえ、という結構難易度の高いところから話がはじまってしまいました。

しかし、なにか真空管に惹かれるものがあって、どうにかして真空管アンプを作ってみよう、あるいはキットを作ったのだけれど回路の意味がよくわからないのでせっかく改造しても雑誌記事の受け売りになってしまう、といった方々の多くがこのホームページにアクセスされているのだということがわかりました。

私の場合も、その昔、オームの法則を知らずにラジオを作っていたこともありましたし、ロードラインが引けないのにアンプを設計していたこともありました。それでも、その時はそれなりに結構楽しかったですが、ある水準以上のものを作ることはできませんでしたし、雑誌の記事の何十パーセントかは意味がさっぱりわからずに読み飛ばしていました。だいいち、大学時代の専門は法律でしたし、その後の仕事もOLAPだとかビジネスインテリジェンスと呼ばれるビジネスソフトウェア技術が専門です(今は破綻したITプロジェクトの建て直しとか管理会計など)。電子回路は全くの独学なので、体系だった教育を受ける機会はゼロに等しかったのです。

増幅回路を相手にする時、やみくもに回路をコピーするのもいいですが、オームの法則にはじまってロードラインを引いたり時定数の計算が簡単にできるということが、いかに回路を身近なものとすることができるかということはまぎれもない事実です。

ところが、実際に自分でアンプを製作しようとしてマニュアル本を買って読んだり、製作記事を克明に読みあさって参考にしようとしても、自分で設計する時に必要な「かんじんな何か」が欠けていることがあまりに多いように思います。真空管の動作原理とロードラインの関係を丁寧に説明した書籍は意外に少ないです。負帰還の動作原理について、基本的なことをちゃんと書いた書籍は皆無に近いです。希望の電源電圧を得るために、どんな電源トランスと整流方式を選んだら良いのか、おおよその見当がつけられるようなガイドなんて書いてある書籍はどこにあるのでしょうか。アースラインの引き方に至っては、通り一遍の受け売り(アース母線方式、一点アース、ベタアース)ばかりだとは思いませんか。

このページは、アンプ設計に必要な知識を網羅しようなどとは考えていません(最近はすこし責任を感じて、できるだけ網羅しないといけないみたいだ、と思っています)。基本的な知識は、世に出ているさまざまな書籍や記事で得ていただきたいと思います。そうした上で、このページのあちこちを拾い読みしてみてください。頭の中でもやもやしていたこと、ずっと疑問に思っていたこと、いろいろなことが明確になってくると思います。

最近、このホームページにアクセスされた方から、たくさんご質問をいただくようになりました。たぶん、私の言葉が足りないために、意味がわかりにくかったりするのだと思います。そういう時は、どんどんメールで質問したり、フィードバックしてください。いただいたメールには必ずお答えしますし、このページの追加や改善にもつながります。

おことわり

「私のアンプ設計マニュアル」は、突然、思い付いた時、気が付いた時に書き足したり、書き直したりしています。一応、目次ページの更新日付が参考になると思いますが、残念ながら「どこをどう直したのか」までは明示できていません。ご不便をおかけしますが、どうかご容赦ください。

なお、全ドキュメントおよび画像をファイルにして一括ダウンロードできるようにして欲しい、というご要望も多かったので、ようやく実現にこぎつけることができました。(但し、最後に圧縮ファイルを作ってからもうだいぶ時間が経ってしまいました)

本の出版

2004年4月、「情熱の真空管アンプ」なる本を出しました。この本は、本サイトの別プロジェクト「Building My Very First Tube Amp講座」における全段差動プッシュプル・アンプ("標準アンプ"と呼ばれていたりする)に関する詳細な説明に加えて、本「私のアンプ設計マニュアル」のページから重要と思われる章を選択してわかりやすくなるように全面的に書き直したものを含んでおり、より体系的なものになっています。

しかし、432ページという紙面の制約があるためにすべてを書き尽くすことは到底できませんでした。そういう意味では、本「私のアンプ設計マニュアル」と併読されることをおすすめいたします。

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