電源コンデンサ電荷放出抵抗


電源OFF後の、電源回路のコンデンサに溜まった電荷を安全に放出させる器具です。


設計と製作

<高圧用>

コンデンサに溜まった電荷を安全かつ短時間に放出させる最も簡単な方法は、適切な値の「抵抗器」をコンデンサに両極に当てることで足ります。抵抗でショートさせた瞬間に最大電流が流れ、放電中コンデンサの電圧はどんどん下がってゆきます。たとえば、最大400Vまでを想定した場合、47kΩの抵抗でショートさせると、最大電流は8.5mAとなり最大消費電力は約3.4Wになります。電圧が200Vまで低下すると電流値は4.3mA、消費電力は約0.85Wとなり、100Vでは電流値は2.1mA、消費電力は0.21Wです。これくらいであれば3W型の抵抗で充分に間に合います。

抵抗器に電流が流れているかどうかをわかりやすくするために抵抗器と直列に発光ダイオード(LED)を入れることにします。このアイデアは当HomePageの掲示板でたぬきさんという方の提供によるものです。最大電流が8.5mAくらいなら通常タイプのLEDにとっては充分に定格内であり、流す電流としても適当ではないかと思います。

と、ここで一工夫入れることにします。単純に抵抗器とLEDを直列にした場合、もし、この器具をプラスとマイナスを入れ替えて使うとLEDは逆耐圧オーバーで破壊してしまいます。これを防ぐにはLEDと並列で互いに反対向きになるダイオードを入れてやることでLEDを保護できます。通常のダイオードでもいいのですが(極端なはなし何でもいいです)LEDを入れてやればどっちの方向にも安全に電流を流せてかつ常に光るようになるので、本製作ではLEDを2個用意し互いに反対向きに並列にして使うことにします。電流の向きによって発光色が変わるようにしてもいいでしょう。回路図にすると右上のようになります。

<低圧用>

100V以下の低圧用についても設計してみましょう。100Vの電圧を与えた時の消費電力が3〜4Wくらいになる抵抗値としては3.3kΩがいいでしょう。最大電流は36mAになります。この場合、LEDに流す電流としてはちょっと大きすぎるので右下のような回路にします。この定数で5Vクラスで大容量コンデンサを使った回路に適用すると放電にかなり時間がかかってしまいますので、そのような用途にはもっと低い抵抗値となるように設計変更してください。

<部品>

下の画像は高圧用の部品一式です。LEDはプラス側のリード線の方が長くなっているので、2個の極性を反対向きにつないで絡めておきます。抵抗器は画像ではたまたま手元にあった39kΩ/3Wタイプの酸化金属皮膜抵抗になっています。クリップには周囲がしっかり絶縁されていて食いつきが良いICクリップを使いました。ICクリップのキャップは引っ張れば簡単にはずれます。本器具全体をくるんで絶縁するために太目の熱収縮チューブも用意しました。材料が揃ったらあとは半田づけして熱収縮チューブをかぶせるだけ、製作の所要時間は20分くらいでしょうか。


使い方

電源を切った真空管アンプなどのB電源のコンデンサの両端に接触させて溜まっていた電荷を逃がします。400Vくらいかけるとしっかり明るく光り、20V程度でもかわいく光りますのでLEDの明るさでかかっている電圧の具合の見当をつけることができます。無極性なのでAC100Vにつないでも壊れることはありません。

使用上注意して欲しいのは、トランジスタ式のリプル・フィルタや定電圧電源を使ったアンプの場合です。この場合は必ずフィルタ用トランジスタのエミッタ側とアースとの間に挿入します。コレクタ側に入れてしまうと、電流がトランジスタの中を逆流し、ベース〜エミッタ間逆耐電圧の定格をオーバーしてしまうことがあるからです。


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