6AH4GT プッシュプル・アンプ歪み率特性


出力段の共通カソードに定電流回路を入れて出力段も差動動作とした点が本機の特徴ですが、定電流回路に並列にコンデンサを挿入して、交流的に差動を殺したらどうなるのかは非常に興味あるところです。

結果はごらんのとおりで、出力段の差動を殺すと、歪みは最大出力手前でわずかに低下するという6G-A4や6V6GTのプッシュプルなどでとよくみられるような特徴が現われました。最大出力もかなりアップし、5%歪みで6Wも得られています。

一方で、差動ありの場合は、差動なしの場合と比較してかなり最大出力が低下し、しかも歪みのレベルも高くなっています。歪み率曲線のカーブの形も、弓なり状になりました。

数字だけ見たら差動なしの方がよさそうですが、実際に出てくる音の評価は反対だというところが興味深いです。

注:本データは、たまたま出力段プレート電流を28mAとした時のものなので歪みが高めに出ています。32mAとすると歪み率はもっと低い値になります。

測定条件:16Ω負荷時、R-ch