Measuring Instruments for Audio

測定を楽にするFINEアッテネータ


歪み率測定作業をやりやすくするため、そして微小信号で測定限界を下げるためにこんなものを使っています。


何故、アッテネータか

低雑音の微小信号を作る:

これを作った最大の目的は、微小信号での測定限界を高めることにあります。オーディオアナライザの信号出力機能は、出口にバッファアンプがあるためにそこで一定量のノイズが生じています。非常にローノイズなバッファアンプであるため、出力信号レベルが1V位の時は無視できるのですが、100mVになるとS/N比は20dB悪化し、10mVでは40dB悪化します。このことは、測定信号レベルが低くなると0.001%であった測定限界が0.01%あるいは0.1%に低下してしまうことを意味します。

この問題を回避するためには、オーディオアナライザのバッファアンプのところでは1Vあるいはそれ以上を維持しておき、バッファアンプの後ろで減衰させるような機能が必要になってきます。本機はそのために製作しました。ボリュームを使ったパッシブ型ですからボリュームがノイズの出すのでは?を思われるかもしれませんが、それでもオーディオアナライザのバッファアンプの残留ノイズよりははるかに低いのです。使用したボリュームは秋葉原の店頭で200円程度のカーボンタイプですが、これのおかげで10mVにおいても0.001%以下の測定限界が得られました。

信号電圧の微調整:

手動で歪み率を測定する時、面倒なのが入力信号レベルの設定です。測定したい出力信号レベルぴったしになるように調整しなければなりません。オーディオアナライザは大概0.1dBステップで出力信号レベルを調整できる機能がついていますが、ある程度精密な測定結果を得ようとするとこれだとちょっと粗い感じがします(まあ、割り切りなんでしょうけれども)。できれば±0.1dB以下の領域でもスムーズに連続可変したいなあ、と思ってファイン調整つけました。


機能と回路

<10dBステップ>
入力信号を、0dB、-10dB、-20dB、-30dBの4段階で減衰させるアッテネータです。減衰回路、計算上はE24系列の抵抗器のみでも結構いい感じでそれなりの精度が出ています(下表)。もっとも、この機能は大体の減衰が得られれば足りるので精密な減衰ステップは必要ありません。下表の値はFINEボリュームがセンターの時のものです。

ポジション減衰率入力インピーダンス
0dB0dB(1倍)1.20kΩ
-10dB-10dB(0.315倍)1.46kΩ
-20dB-20dB(0.098倍)1.11kΩ
-30dB-30dB(0.0311倍)1.03kΩ

<FINE>
最大±2dBで微調整するためのボリュームです。回路は非常に簡素なものですがこれで立派に役目を果たします。本機を作った目的はこの機能がほしかったからです。

<LEVEL>
MIN(-∞)〜MAXまで可変でき通常のボリュームと同じ動きをします。粗いレベル設定はこれで行います。

<入出力端子>
すべてBNCで、入力側は2個並列で1個はパラ出し用、出力側は3個並列です。

<回路図>
じつに簡単なものです。

<注意事項>
安物のボリュームを使っていますが0.0005%くらいの歪みの測定であれば影響ありません。本機の入力インピーダンスは1kΩ〜1.2kΩですので、一般的な発振器(50Ωまたは600Ω)が問題なく使えます。出力インピーダンスは0Ω〜430Ωの範囲です。


使い方

まあ、説明を要するほどでもありませんが。
  1. オーディオアナライザの信号出力レベルは必要充分に高めにセットして固定とし、被測定アンプの入力信号レベルの制御はすべて本機で行います。
  2. 本機の入力側にはオーディオアナライザの信号出力をつなぎますが、この信号をモニターしたい場合に並列のもう1つの端子から取り出します。出力側には被測定アンプをつなぎます。被測定アンプの入力される信号については、オシロスコープや電子電圧計をつないでモニターすることが多いのでパラ出し端子をつけてあります。このパラ出し端子がとにかく便利です。
  3. 被測定アンプに送り込む信号電圧の制御は、まずLEVELボリュームである程度の精度まで追い込んでおき、最後の微調整をFINEボリュームで行います。10dBアッテネータは都合に合わせて併用します。

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