Digital Home Recording

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■■■Bluetooth用2.4GHzアンテナの工作■■■

Bluetooth基板は基板上にアンテナがついていますが、金属ケースは電波を十分に通しませんからケースの外にアンテナを立てなければなりません。問題はアンテナのケースへの取り付け固定と、Bluetooth基板とアンテナをつなぐケーブル/コネクタです。Bluetoothの周波数帯はWi-Fiと同じ2.4GHzなので2.4GHz用のアンテナが必要です。非常にポピュラーなので容易かつ廉価に手に入りますが、種類が非常に多く選択を間違えると工作でつまずいたりうまく機能してくれません。ここではBluetoothで使用するアンテナの紹介と、「ネットで手に入れたレシーバー基板を実用レベルに改造する」におけるアンテナ周辺の工作について解説します。

●アンテナの種類

本サイトのBluetoothレシーバー製作で使用したアンテナは以下の3種類です。最初に使ったのは「ケーブル・アンテナ一体型」でこれが最もシンプルです。次にケーブルとアンテナを購入してきたところ、コネクタのオス・メスが合わなかったため変換コネクタを追加して解決しました。そうこうするうちにケーブルとアンテナのオス・メスが合うタイプを見つけたので変換コネクタが不要になりました。このように見た目が良く似たアンテナであっても仕様が異なるさまざまなタイプが作られていますので、購入にあたっては注意が必要です。

<ケーブル・アンテナ一体型>

アンテナからじかにUFLコネクタ付きのケーブルが出ています。これならばそのままBluetooth基板につなぐことができます。アンテナは樹脂製の保持リングで固定するため、アンテナ回路はケースとは絶縁されます。この保持リングはかなりの曲者で、アンテナの取り付けはケース側の穴の加工と取り付け手順にこつがいります。保持リングとアンテナの根元がどんな風に噛み合わさるのかよく観察して仕組みを理解してから作業を始めてください。私は安易に考えていきなり取り付けたため、何度も作業のやり直しになってえらい苦労しました※。

※アンテナ付属の保持リングは1mm〜1.5mm厚のパネルを想定していますがHENシリーズのパネルは2mmの厚さがあるため、そのままパネルに取り付けようとするとツメがひっかかってアンテナを通す穴が狭くなりアンテナが通らなくなります。そこでパネルの内側の保持リングが当たる部分を半丸やすりで斜めに削ってテーパーさせる必要があります。保持リングを通す穴径は10mm〜10.5mmですこし余裕を与えて保持リングが無理なく通るようにしてやります。アンテナ側にはバネ上になっていて先端に戻り止めのツメがあるので、それがひっかからないように90°回転させた状態で力を込めて穴に通します。完全に通るとパチンとはまって戻せなくなります。
<ケーブル+アンテナ分離型>

市販のアンテナには、アンテナ側のコネクタがメスのものとオスのものがあり、メスのものが多く流通していて、オスのものはなかなかお目にかかりません。一方で基板とアンテナをつなぐケーブルは基本的にメスがついています。

アンテナ側がメス→ ←アンテナ側がオス

画像の左側は、ケーブル側もアンテナ側もメスですのでこのままではつなぐことができません。そこでオス〜オスの変換コネクタを追加しています。変換コネクタを使わずにメス〜メスの間に0.9mm径の銅単線を差し込んで心線を導通させるという裏技もあります。

画像の右側は、ケーブル側がメスでアンテナ側がオスですからそのままつなぐことができます。

いずれの場合もBluetooth基板のアースはアンテナのコネクタのところでケースと接触することになります・・・つまり、アンテナのところがシャーシアース・ポイントになります。

<コネクタの種類>

測定器や高周波機器ではBNCコネクタがおなじみですが、Bluetooth機器やWi-Fi機器ではSMAコネクタやUFLコネクタが使われます。UFLコネクタは小型なので基板実装に適し、SMAコネクタはネジ式で強度があるのでパネル実装の端子やアンテナ固定に適します。

UFLコネクタ→ ←SMAコネクタ

<アンテナ実装の様子>

左から、ケーブル・アンテナ一体型、ケーブル+アンテナ分離型(変換コネクタ付)、ケーブル+アンテナ分離型。


●Bluetooth基板側のアンテナまわりの加工

このBluetooth基板のアンテナ周辺を拡大したのが左下の画像です。基板上のCSRA6125のアンテナ線は赤い経路を通って基板内蔵アンテナにつながっています。一方で基板には外部アンテナをつなぐための嵌合(かんごう)部が2mm径の小さなUFLコネクタもついていますが、こちらへの青い経路は切れています。これを切り替えているのが赤い経路の下端に見える黒い小さな部品です。この部品は抵抗値0Ωのジャンパーです。このジャンパー部品をひとつ右にずらして取り付けると、内蔵アンテナが切り離されて外部アンテナにつながります。

変更前→ 変更後

外部アンテナを使う場合は、この黒い小さな部品を右側にずらして付け変えてやればいいのですが、あまりに小さくて普通のハンダ作業ではとうてい不可能です。そこで右上の画像の青い線のように、内蔵アンテナと外部アンテナへの経路の途中の部分を細い線材で斜めにつないごうというわけです。

下の2つの画像は実際に加工をやってみてうまくいった時のものです。細かい作業なので、撚り線の心線を2本引き出して捻って使いました。

加工例1→ ←加工例2

作業手順は以下の通りです。

(1)先端が細いこて先を用意します。私は普段はこて先としてgoot PX-60RT-Bを使っていますですが、細いgoot PX-60RT-SBに交換しました。
(2)ルーペで基板の状態を確認し、作業手順を考えます。
(3)「基板内蔵アンテナ側」と「外部アンテナにつながる側」の2ヶ所にハンダを薄く引いておきます。
(4)線材につけたまま心線を2本だけ分けて捻り、先端からハンダづけをして取り付けてゆきます。
(5)2点のハンダづけが完了したら、線材本体から心線を切り離します。
(6)テスター棒を当て、「基板内蔵アンテナ〜UFLコネクタのHot側(中央のポッチ)」間の導通が得られているか確認します。
(7)アンテナとつなぐケーブルのUFLコネクタを押し込みます※。

※Bluetooth基板上のUFLコネクタへのケーブルの取り付けでは指先でかなり強く押さないとはまってくれません。


●コメント

私は強い近視なのでメガネなしに近くのモノを見るのは得意だったのですが、今年から前期高齢者の仲間入りをしたこともあり、この作業はルーペなしでは流石に無理でした。



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