本音爆裂・神経逆撫

師匠と弟子のいいたい放題-24


師匠的ケーブル薀蓄
2003.9.17

弟子 「今回はすごい企画ですね、師匠。」
師匠 「なんだか知らんが、今回はこういうテーマでやってくれと言ってきた。」
弟子 「こりゃ大変なことですよ。ケーブル薀蓄嫌いで有名な師匠のケーブル薀蓄ですからねえ、へっへっへ。」
師匠 「どうなったって俺は知らんぞ。」
弟子 「どうぞ、どうぞいつもどおりお好きにやっていただいて結構です。」
師匠 「で、何をしゃべったらいいんだい?」
弟子 「今回の趣旨はですね、師匠のお宅のオーディオのケーブルの実態についてすべてを語っていただこう、っていうのが狙いなんですよ。」
師匠 「俺を陥れようってんだな。」
弟子 「大丈夫です、このHomePageにお越しの方々はみなさんいい方ばかりですから。」
師匠 「んなわけねぇだろう。トンでもない奴だってのぞきに来てるに決まっとるわい。名前あげたろか。」
弟子 「や、やめてください。ご本人が見てるかもしれないじゃないですか。」
師匠 「ホレ見ろ。やっぱり、ヘンな奴ものぞきに来てるじゃないか。」
弟子 「師匠だって、わかってやってるくせに。」
師匠 「しかし、あんまり変なこと言うと営業妨害になるしな。」
弟子 「オ○○デとか?」
師匠 「ははは、あそこには昔、散々お世話になったな。じゃ、先に行くぞ。」
弟子 「まずですね、機器をつないでいるRCAプラグ付のオーディオ・ケーブルについて聞かせてください。」
師匠 「ほとんどはごく普通のいちばん安いやつだよ。テープデッキなんかを買った時に只でついてくるやつ。」
弟子 「それで問題はないんでしょうか。」
師匠 「接触が悪いわけでもない、長くなければ静電容量が問題になることもない。」
弟子 「でも、直径2mmくらいの細いやつだとなんとなく頼りない感じがしますけど。」
師匠 「なんで細いと頼りないんだね。さては、君は太いのにコンプレックスがあるな。」
弟子 「なんででしょうね。」
師匠 「よく考えてごらん。只でついてくるやつのどこが弱点なのかを。」
弟子 「RCAプラグがなんか安っぽいのと、線が細いのが頼りないのと、そもそも、只でついてくるやつなんて粗悪なんじゃないかと思います。」
師匠 「その気持ちはよくわかる。できれば、線は太く、プラグはもっと丈夫で立派なのが良いのだな。」
弟子 「まあ、ゴツくてキンキラ過ぎるのもやり過ぎって気がしますけどね。ゴツ過ぎて左右並んで入り切れないのがあったりしますが。」
師匠 「よく考えてみるとさ、只でついてくるようなRCAケーブルって、結構良くできているんだよ。」
弟子 「どんなところがですか。」
師匠 「安いケーブルのRCAプラグは例外なく、弾力があってピンジャックによく馴染むじゃないか。クソ高いRCAプラグの中には、アース側まで削り出しのカチカチでさっぱり弾力がないのがあるね。」
弟子 「下手すると、センターの芯だけが接触して、まわりが浮いたままっていうのがありますね。」
師匠 「しかも、線材が太すぎて融通がきかないっていうか曲がらなくて収まりが悪いっていうか。」
弟子 「じゃあ、そういうお安いRCAケーブルにはあまり欠点がないってわけですね。」
師匠 「いや、欠点がないわけでもない。単位長さあたりの静電容量が結構大きかったりするから、3m以上長いのを使った場合、送り出し側の機材によっては不具合が出ることがある。」
弟子 「細手のシールドケーブルの場合、静電容量の大きさは100pF/m〜300pF/mくらいありますね。」
師匠 「もちろん、細くても低容量タイプってのもあるからいちがいにはなんとも言えないけど、200pF/mやつを3m伸ばしたら600pF以上になるだろ。回路インピーダンスが10kΩもあったら、26.5kHzで-3dbだもんな。これだけで音に出てしまう。」
弟子 「でも、ケーブルが短くなるようにアンプの配置に工夫するとか、そういうのはないんですか。」
師匠 「基本的には短くなるように考えてるけど、どっかで1本か2本、長いのが必要になってくることがある。」
弟子 「じゃあ、そういう時はいいやつを使うんですね。」
師匠 「いいやつ、というのが誤解を生じやすいな。正確には、安くても低容量タイプだ。50pF/mが5mだったら250pF+αになるから・・・αっていうのは機材内部に生じている容量分ね・・・出力インピーダンスが10kΩなんて高くてもなんとか64kHzで-3dBになってくれる。」
弟子 「じゃあ、RCAケーブルをみんな低容量タイプにしてもいいですね。」
師匠 「30年くらい前に、そういうことをやったことがあるよ。秋葉原の○ヤイ○あたりでモガミなんちゃらかんちゃらを大量に買い込んできて、ひたすら自分で作ってたなあ。」
弟子 「あ、師匠のお宅で見たことあります。直径5〜6mmくらいの灰色のやつでしょう?」
師匠 「すごいよね、あのケーブルはもう30年間も使っているってわけだ。」
弟子 「で、どうなんですか。」
師匠 「よく考えたらさ、太い低容量ケーブルの長いやつを持て余し気味に使うよりも、細手のやわらかいやつをうんと短くコンパクトに使った方が具合がいいってことに気がついたのさ。」
弟子 「ハイエンドの人のお宅に行ったら、蛇か水道ホースのようなのを使ってましたけど、ああいうのはどうなんでしょう。」
師匠 「そんなの知るかいな。俺は、蛇だとか水道ホースなんか使いたくない。」
弟子 「では、今度はスピーカー・ケーブルです。」
師匠 「今使っているのは近所のコジマ電器で買ってきたやつだよ。」
弟子 「スピーカー・ケーブルの場合、太い方が直流抵抗が低くなってダンピング・ファクターの低下を防げますよね。」
師匠 「うちのアンプの内部抵抗は1Ωから3Ωくらいあるし、長くしない限り気にしないことにしている。」
弟子 「長くしないって、どれくらいですか。」
師匠 「今使っているのは、2mと3mだ。」
弟子 「師匠、2mの方はスピーカー・ケーブルじゃなくてグレーのAC100V用じゃないですか。」
師匠 「ちょうどいいのが余ってたのでそれを使っているんだ。両端にシルシをつけとけば不便はないよ。」
弟子 「そんなのを流用していていいんですか。」
師匠 「えっ、どこが悪いんだい?」
弟子 「え、まあ、悪くはないですけど、電器店に行くとよくスピーカー・ケーブルと称して赤黒とか青白の色がついたやつが置いてありますよね。あれはどうなんですか。」
師匠 「あれの最大の欠点は、派手な色がついているってことだ。」
弟子 「はあ?」
師匠 「つまりだな、色彩センスが最低だってことだ。」
弟子 「んんむ、そう言われてみれば、ひどい色ですよね。」
師匠 「なんで、スピーカー・ケーブルだけ赤と黒の派手派手じゃなきゃならないんだね。なんで、グレーとか薄いブラウンとか、そういうインテリアを邪魔しない色じゃないんだね。プラスとマイナスを区別するのに、あそこまでみっともなく赤黒とか青白である必要はないだろ?信号機とか道路工事じゃあるまいし。」
弟子 「最初からずっとこんな感じだったんですか。」
師匠 「僕がはじめて買ってきたスピーカー・ケーブルはその赤黒のやつだったよ。」
弟子 「いつごろのことですか。」
師匠 「今から35年くらい前。それをね、2本並行にして赤と赤、黒と黒とをつないで、これで直流抵抗が半分になる、って喜んでいたな。その後、いろいろあって・・・」
弟子 「どういう風にいろいろあったんですか。」
師匠 「うん、とにかくいろいろあって、今に落ち着いた。」
弟子 「あ、ブチルゴムとか巻いたんでしょう?」
師匠 「コラ、失礼な。俺はそこまでおめでたくない!」
弟子 「スピーカー・ケーブルの両端にしっかりバナナ・プラグがついてますね。流石、日本バナナプラグ党の党員だけありますね。熱心だなあ。」
師匠 「これが便利なんだよ。」
弟子 「スピーカーの接続って、端子にネジ留めがいいって聞きましたけど。」
師匠 「いろんな端子をよく見てごらん。スピーカー端子の中央の穴はバナナ・プラグとぴったしだろ。テスターもアースも、測定器の端子もみんなバナナを想定して作られているんだよ。」
弟子 「ほんとだ。」
師匠 「これほど徹底した標準化はほかにあんまり例がないよ。しかも、着脱が簡単。ネジ留めって、いくらきつく締めても案外粘りがなくて、力がかかっているうちに見えないところで緩んでいたりするんじゃないの?」
弟子 「それくらいだったら、バナナの方が信頼性あるってことなんですね。」
師匠 「実は、バナナ・プラグにも普通のとちょっとしっかりしたのとがあってね、ま、勉強してくれたまえ。」
弟子 「次は、AC100Vケーブル関係です。師匠は、AC100Vケーブルだとかプラグなんかにはこだわりはおありですか。」
師匠 「線材へのこだわりはないけれど、アンプにじかに引き込まないで、コネクタかインレットを使って着脱式にすることが多いよ。」
弟子 「その理由はなんですか。」
師匠 「僕なんか、アンプを外したり運んだりすることが多いだろ。その時、アンプの尻から出たACプラグが付きのケーブルをズルズルと引きずっていたんじゃ、邪魔でしょうがない。ACケーブルをはずせることは、機材を動かしたり作業するのには必須だと思うね。」
弟子 「音に関してはどうなんでしょうか。」
師匠 「関係ないね。接点恐怖症の人は絶対に嫌だって言いそうだけどな。ACラインに接点が2個所できることで音質が劣化するとかなんとか。」
弟子 「ACプラグとか、コンセントはどうされていますか。」
師匠 「どうされているって、ちゃんとついているよ。」
弟子 「いや、その、なんか、工夫とか・・・」
師匠 「なんにも。」
弟子 「線材とかは?」
師匠 「そこにあったやつ。」
弟子 「ACプラグは?」
師匠 「ジャンクについてたのかホームセンターで売っているやつ」
弟子 「でも、BIGカメラなんかでもオーディオ売場に行くと武器になりそうなくらい立派なテーブル・タップとか売っていますよ。」
師匠 「俺は家に武器を持ち込むのは嫌いだ。」
弟子 「じゃあ、工夫は全くなし?」
師匠 「白状するとね、うちのオーディオのACラインには2個所に仕掛がある。」
弟子 「あ、やっぱり。」
師匠 「プリアンプの電源部にはACライン・フィルターが組み込んであって、そこからACアウトレットを引き出して各機材に電源を供給している。プリアンプから離れたところに手製のACタップがあって、プリアンプの電源ON/OFFでリモコンで動作するようになっている。そのACタップの中にもACライン・フィルターが組み込んである。だから、あの部屋のオーディオ機材のAC100Vは基本的にACラインフィルターを経たものなんだよ。」
弟子 「どんな効果があるんでしょうか。」
師匠 「わからん。」
弟子 「でも、つけたんでしょう。」
師匠 「我が家の場合には、あってもなくても音には関係ないことがわかった。」
弟子 「そんな。」
師匠 「これは重要なことだよ。すくなくとも我が家の場合はACライン・ノイズ・フィルターをしっかり入れても、入れなくても、関係ないことがあるってことがわかったんだから。なんにも変らないのに、音が変った、変ったって騒げっていうのかい?」
弟子 「でも、デジタル・ノイズとか高周波ノイズとかが音を駄目にするって、言うじゃないですか。」
師匠 「モノを売ろうとする連中はなんだかんだ言ってお客を脅すもんだよ。」
弟子 「でも、いいものはそれなりにいいんじゃないんですか。」
師匠 「そうじゃなくて、新しいものを売りつけようと思ったら、今、お客が使っているものをやめさせなきゃならない。ってことは、自社以外のケーブルがいかに問題があるのか、ダメなのかを言わなきゃならんということだ。今使っているケーブルで十分、なんてことになったらなんにも売れないじゃないか。」
弟子 「悪意があるんですかね。」
師匠 「悪意があるんじゃなくて、競争が激しいものを売ろうとすればするほどほっといてもそういうことになっていくってことだよ。話題がそれたな、何の話だったっけ。」
弟子 「AC100Vラインの話題でした。」
師匠 「というわけで我が家ではごく素直に東京電力のAC100Vを使っているといっていいね。」
弟子 「それが師匠の考え方なんですね。」
師匠 「そうじゃないんだ。僕がそう考えているんじゃなくて、いろいろやっているうちに結果的にこんな形で落ち着いたっていうことだよ。」
弟子 「なんか、いちばん安上がりなところに落ち着いたように思えてならないんですけど。」
師匠 「なかなか鋭い指摘だな、案外それが真実だったりして。あははは。」
弟子 「でも変ですね。」
師匠 「どして?」
弟子 「もしですよ、皆が師匠と同じところに落ちてきちゃったらいろんなところで作られている高級オーディオケーブルやらテーブルタップの存在は意味がなくなってしまうじゃないですか。」
師匠 「大丈夫。僕みたいな奴は変人の部類にはいるから、ほとんどの人は僕とは違うところに落ち着くと思うね。」
弟子 「日本経済の活性化のためには、是非そうあっていただきたいですね。」
師匠 「でもさ、話を蒸し返すようだけど、キンキラのRCAプラグとかヘビみたいなバカ太いケーブルとか、金庫みたいにゴツイテーブルタップとかさ、何か格好悪くて好きになれないんだよね。」
弟子 「もしかして師匠、音じゃなくて見かけで判断してません?」
師匠 「あははは、バレたかー。」
弟子 「んもー、好きにしてください!」


苦情とご質問は受け付けておりません、あしからず。

元のページに戻る