TO-220パッケージ温度特性実測データ


TO-220は、パワーデバイスで使われるもっともポピュラーな規格です。Wikiにも解説が出ていますので参照してください→http://en.wikipedia.org/wiki/TO-220

今回のテーマは、このTO-220型の熱特性の実測です。

メーカー発表のデータシートによりますと、放熱板なしのハダカの状態では、周囲温度25℃の時で最大定格は1.5W〜2Wとされています。右図は2SD2531のデータシートですが、っ理想放熱(無限大の放熱板)の時で25W、放熱板なしでは2Wと記載されています。2Wの時に接合部温度が安全値ぎりぎりの150℃になるというわけですから、実際の設計では2Wまで食わせることはできません。

ではどれくらいまでならいいのか、またその時の表面温度はどれくらいになっているのでしょうか。また、小型の放熱板を取り付けた場合はどれくらい効果があるのでしょうか。そのあたりが知りたくて実験してみたのが本レポートです。


小型放熱板

実験で使用した放熱板は、アルミ板を「コ」の字型に曲げただけのもの(左下画像の大きい方)と、「ヨ」の字型に成型したもの(右下画像)の2種類です。


実測データ

測定条件は以下のとおりです。

測定結果は以下のとおりとなりました。簡易測定ではありますが、測定サンプル数はかなり多く、何度測定してもほとんどばらつきのない結果が得られていますので、かなり信頼できるデータだと思います。

放熱板の線を半導体チップの一般的限界である150℃まで引っ張ると3Wくらいになりますが、実際に食わせることができるのは理想的な通風状態で2Wが限界です。その理由は、半導体の最大定格は接合部の温度で規定されていますが、この測定結果は表面温度ですので条件が根本的に異なるためです。

<放熱板なし>

1Wを食わせた時の表面温度上昇は40〜41℃となりました。室温が25℃であれば65〜66℃ですが、アンプシャーシ内の温度が50℃になっていれば75〜76℃になります。半導体の最大定格にはかなり余裕がありますが、線材やコンデンサ類の耐温度が70℃程度であることを考えると、放熱板なしでの使用では1Wあたりがめやすになるでしょう。

<「コ」の字型放熱板>

表面温度上昇が40℃となるのは1.5Wくらいです。ミニワッターで頒布しているのはこれですが、2SK3767の損失は1.5Wを超えないように設計されています。

<「ヨ」の字型放熱板>

表面温度上昇が40℃となるのは1.9Wくらいです。「コ」の字型よりも健闘するかと思いきや、大きな違いはありませんでした。2W以上になる場合は、これよりも大きな放熱板が必要になります。あるいは、シャーシにじけづけしても同等の効果が得られます。


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