6AU6(3結)特性実測データ


6AU6では、プレートのように見える筒状のものは実はシールドで、これはG3につながっています。この球は、G3を交流的にアースする限り、シールド・ケースなんていらない便利な球なのです。

しかし、メーカー発表のマニュアルによると、3結の時は「G3をPにつなげ」とあります。これでは、せっかくのシールド機能がもったいないです。

2004年1月現在、日本でのMT管シールド・ケースの生産は行われていません。9pinMT管用のシールド・ケースだけは中国で代替生産をやっているようです。今後は、7pinMTシールド・ケースの入手はどんどん困難になってゆくでしょう。そんな時に、しっかりとした内部シールドを持った6AU6はありがいたい存在です。

そこで、G3をPおよびKにつないだ時に、Ep-Ip特性がどのようになるのかについて検証してみることにしました。


↑Sylvania 6AU6(左)と東芝6AU6(右)、プレートのように見えるのは実はシールド。


6AU6(3結)・・・G3をPにつなぐ

このデータは、マニュアルどおり、第3グリッドをプレートにつないだ時のEp-Ip特性です。試料には、東芝製6AU6(太い線)とSylvania製JANの6AU6(細い線)を使いました。

一見して、Sylvania製の6AU6の方が内部抵抗が高いですが、μはSylvania製の方が1割ほど高いです。また、データブック上で一般に知られている3結のEp-IP特性よりも直線性が良いことがわかります。


6AU6(3結)・・・G3をK(アース)につなぐ

このデータは、マニュアルに反して、第3グリッドをカソード(アース)につないだ時のEp-Ip特性です。試料に使った球は上記と同じです。太い線が東芝製6AU6、細い線がSylvania製6AU6。

特性全体を見ると、プレートにつないだ時(↑の特性図)比べると微妙な違いがあるもののほとんど変わりません。


比較データ

そこで、上記4つのデータを1つのグラフにまとめてみました。黒・青ともに太い線が「G3→P」の接続、細い線が「G3→K(E)」の接続です。

特性の変化に共通した傾向が出るかと思ったら、それは間違いのようでした。なんと、東芝(黒)とSylvania(青)とでは、傾向が逆になっています。

しかし、いずれにせよG3をどちらにつなごうが、Ep-Ip特性に顕著な違いはなさそうで、ほとんど球のばらつきの範囲にはいってしまっています。(この測定は非常に精密なものなので、微妙にずれたカーブは正確です。)

というわけで、6AU6を3結で使った場合、G3をアースすることで管内シールドを生かせることがわかりました。


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