How to Live, How to Behave No.3

お茶は大好き


色合いを合わせたRoyal WorcesterとLimogesを交互に配置。シュガーポットとミルクピッチャーはHerend。
Dining roomのRound Tableにて。


お茶の時間をつくる

お茶のために、時間をつくってください。いろいろとやりたいことがあると思いますけど。夕食が終わって、ふう、と一息ついた時、お茶にしましょう、といういう声がかかります。見たいビデオがあるんだがな、作りかけの真空管アンプが気になるな、いろいろお忙しいことと思いますが、そこは曲げてみんなでお茶にしましょう。家族や仲間がみんなで一緒にお茶をする、ということと、ひとりでビデオを見たり、何かをこつこつ作ることと、一体どちらが大切なんでしょうか。

なにかと忙しい今の時代では、意識して自分の時間を割かないことには、お茶の時間はつくれなくなってしまいました。お茶が済んだらまたビデオの続きを見たらよろしい、真空管アンプの配線の続きをやったらよろしい。ひとりで黙々と何かに没頭している時は、周囲の家族はあなたに声をかけずらくなっています。そういうことを察して、あなたの方から、そろそろ一段落するんだけどお茶にしないかい、と声をかけたらよろしい。奥様は、そういうのを待っていると思います。

言うまでもないことかもしれませんが、このような、人と人とのコミュニケーションの機会、一緒に時間を過ごす機会というのは、精神的な健康に重要な役割を果たします。それがうまくできないでいると、おとうさんが家の中で地位を失ったり、子どもとコミュニケーションできなくなってしまったり、離婚のきっかけになったりします。ひとりでビデオなんか見ている場合じゃないのです。

緑茶

日本にはいくつかのお茶の産地があります。紅茶やワインと同じように、緑茶にも産地ごとに大きな違いや特徴があります。煎茶ひとつとっても、狭山と伊豆と静岡と宇治とでは全然違います。同じ宇治でも、祇園の辻利と二条の一保堂とではその香りの特徴や味わいにかなりの違いがあります。我が家では、一保堂のお茶の渋みの背筋のぴんと張った感じ、香りが鼻から脳天にすかっと突き抜ける緊張感がたまらなく好きで、もっぱらここのお茶を愛飲しています。こだわりを持って、自分達の生活のスタイルを豊かなものにしてゆくには、自分達の好みに合った緑茶をみつけ、そこのお茶と長い付き合いをしてゆくことも意味があると思います。

我が家の場合、宇治のお茶が好みですので、茶器も自然と京都のものに偏ってきました。清水焼のりんとした気迫がたまらず、食器の多くが清水焼です。何年か前の、私がもらった誕生日プレゼントというのがやはり清水焼の湯呑茶碗で、四君子(中国では梅・竹・菊・蘭をこう呼ぶ)をあしらった祥瑞(しょんずい)柄のかなり良いものでした。こうなってくると、家族ひとりひとりの湯呑を決めるだけでも、店を何軒もまわったり、あれがいい、いやこっちだ、などど楽しい悩みが増えてきます。茶器ひとつをめぐって、親子で議論がはじまるのです。これまで洋食器にしか関心がなかった私も、すっかり引き込まれてしまったというわけです。

紅茶

英国式アフタヌーン・ティーのおしゃれな雰囲気が受けて、昨今、日本では大はやりのようです。エクレアやスコン、きゅうりのサンドイッチもつきますから、食べることにかけては真剣勝負のおばさま達には、もう、願ってもない組み合わせではないですか。しかし、水を差すようですが、英国社会の日常では、こんなことやってるご家庭はごくわずかです。通常は、でっかいマグカップたっぷりの紅茶とビスケットがあるか、ないかという程度です。

ティータイムを十分に楽しむためには、たっぷりのお茶とおしゃべりが必要です。そして、ティータイムにふさわしい場所のセッティングも必要です。リビングルームの一角にそういうコーナーを用意してわざわざ花を添えてみたり、テラスにテーブルを出して外の空気を吸いながらのお茶はいかがでしょう。外に出かけなくても、ちょっとした非日常的な演出はできると思います。そう、生活の中に、時々、非日常性を持ち込むことが、おしゃれな生活の基本なんです。

そのために、ティーカップ&ソーサーに凝ってみたり、茶葉にこだわってみたりするんではないでしょうか。そんな時、お菓子のためのお皿をけちったりせずに、食器は豪華に使うのがポイントです。コンビニで売っているハムサンドも、包装をはがしたままではなくて、ナイフで小さめに切り分け、紙ナプキンを敷いた大皿にきれいに盛り付けます。そこに、いただきもののクッキー、特売で買ってきた苺を添えてみます。お皿は、盛り付けるものに比べて大きければ大きいほどよろしい。最後に、ティーポットに人数分の取り皿とナイフとフォーク、ティーカップ&ソーサーにナプキンを用意します。いかがですか。これで立派なアフタヌーン・ティー・テーブルのできあがり。食器とナプキンはふんだんに、ですからね。


カップ&ソーサーはRoyal Copenhagen、大倉。ケーキ皿はクラシックなSpodeのWillow柄。
天井から光がこぼれるIndoor Gargen Roomにて。

コーヒー

コーヒーにもいろいろありますね。コーヒータイムを演出する小道具のひとつに、エスプレッソなどいかがでしょうか。エスプレッソを楽しむためには、専用にローストした豆が必要です。つまり、普段用のレギュラーコーヒーとエスプレッソ、2種類の豆を用意しなければなりません。それだけで、ちょっと贅沢な気分になります。本当に凝るんでしたら、イタリアで仕入れたエスプレッソ・マシンのために、専用の200V電源を引く人だっていますよ。

たまの日曜日は、家族や意中の女性を誘って、都心まで足を伸ばしてのコーヒータイムはいかがでしょう。買い物をするでもなく、混雑したアミューズメント・パークに行くでもなく、静かな都会の空気を吸いに行くだけでもいいではありませんか。足代とコーヒー代で買うそういう時間は、決して割高ではないと思います。

ROVER & Cafe Restaurant・・・夫婦や家族と過ごす時間を大切にする人のための、駐車場を気にしないでちょっと立ち寄れる店。


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